popoのブログ

超短編(ショートショート)

お母さんのうた

僕は昔イジメられたことがある。

理由はほかの人より少しおでこが広かったこと。

「ハゲ」「でこっぱち」「フランケン」

たくさんの呼び名があった。

それでもお母さんやお父さんの前では普通にしていた。

きっとイジメられてるって知ったら悲しむから。

 

その日もいつものように学校に行った。

いつものように黙って席についた。

その時だった。

前から飛んできた紙飛行機は

僕のおでこにあたった。

「ハハハ!でこが広いから当たったんだ!」

「ざまあみろ」「でこっぱち!」「ギャハハハハ」

バカみたいに笑うみんなが僕の目に映った。

僕の我慢は限界だった。

家に帰った僕は、お母さんの顔を見るなり

泣きじゃくった。

「おっ・・・おかあさん・・・みんなが

みんなが・・・おでこ広いって・・・

でこっぱちだって・・・」

僕は泣きじゃくった。

お母さんは僕の肩を両手でつかんだ。

「ねえ見て。」

お母さんは僕の正面に顔をやり

前髪をかきあげた。

「ほら。お母さんもおなじ。」

そう言って今度は僕を抱きしめた。

その時お母さんが僕の耳元でささやくように

歌った。

ぞうさん ぞうさん

おはなが ながいのね

そうよ かあさんも ながいのよ」

感謝と祈りの記念日

可愛らしい着物を着て、おめかしをした女の子。

初めての神社参りにわくわく。

神社の境内では、写真撮影のために多くの家族が集まっており、

その中にはカメラを向けられると照れくさい笑顔を見せる子供たち。

この女の子もその一人で、カメラを向けられるとにっこり笑顔を見せた。

が、その直後に不意に口元を手で隠した。

お母さんが不思議そうに尋ねると、

女の子は恥ずかしそうに言った。

「神様に見られるのはいいけど、

カメラのおじさんに見られるのはちょっと…」

 

写真館に行ったんです。

うちの子は写真撮影で、緊張している様子でした。

撮影が始まると、うちの子は急に元気を取り戻して、

にっこり笑顔を見せました。

しかし、写真を撮ろうとする度に、カメラに向かって手を振るんです。

挙句にはポーズをとって「チーズ!」と元気いっぱいに言っていました。

「お願い!止まって!」

 

今日は息子と参拝にきた。

「お参りをしてお願い事をしようね」

「いいか。手を叩いて合わせたら、

目をつぶって、お願い事をいうんだぞ。」

「うん。」

パンパン。小さな手を叩く。

「おもちゃがいっぱいもらえますように!」

「それと。それと。お菓子いっぱいほしいです!」

おいおい。俺は慌てて周りを見渡した。

 

今日は、子供の純粋な思いと

大人たちの笑顔が交じり合った記念日。

自由の花

物語の舞台は、1970年代。

主人公は、伝統的な役割に縛られることに疑問を抱き、

自らの夢と自由を求める若い女性であるエマ。

 

エマは小さな町で育ち、結婚し、家庭に入り込むことが期待されていた。

しかし、エマは他にも追求すべき夢があると感じ、

地元のある活動に参加する。

それは、女性たちが自分たちの選択をし、

社会で平等な地位を占めるための活動。

 

地元の大手企業での管理職へ応募。

エマはそのポジションにふさわしいスキルと経験を持っていた。

しかし、彼女は差別的な態度に直面する。

「女に男を仕事上、管理できるのか?」

「どうせなめられるだけだ。」「家の事でいっぱいだろう」

エマにとっての屈辱だった。

「ふざけるな」心で強く叫んでいた。

エマは言った。

「私は家事もやる。それでも仕事に向き合える。

会社のためにやるべきことをやれる」

「あなたたちは自分を大きく見せたいだけなの?」

「私もあなたたちも同じ一人の人間です。」

エマは女性たちが直面する様々な問題に取り組みながら、

夢や選択を尊重し合う姿勢を築いていく。

同時に、彼女は男性との理解と協力も求め、

共により平等な社会を築くために戦う。

エマは地元の学校で開催されるイベントに参加する。

「私は伝統的なジェンダーロールに縛られず、夢を追い求める」

「男も女も関係ない!夢をあきらめないで!」

 

個人の自由や平等、友情、家族、愛。

すべてが私たちにはある。

あなたに一本のこの花を授けます。

「自由の花」

作品

本田修一。彼は小さな町に住む芸術家。

修一は生涯を通じて、一つの目標を追い求めていた。

「心に残る作品を通じて人々に感動を与えること」

ある日、修一のもとに雄太という少年が修行に来た。

悠太は漆塗りの世界に非常に興味を持っていた。

 

修一は、伝統的な漆塗り技術に加えて、

独自の手法や素材を取り入れていた。

異なる色調や質感を漆で表現し繊細な描写や立体感を生み出した。

修一の作品は、ただ美しいだけでなく、

微細な筆使いや彫刻技術を駆使して

彼の経験や感情を表現しているようだった。

特に、自然の美しさや人間関係の複雑さを描く際に

彼の技術はその深みを増していた。

 

年老いた修一は雄太に

独自の技法や創造性を導く方法を徹底的に教え込んだ。

ある作品では、金箔を使用して光の反射を漆の中に取り込み、

作品に動きと奥行きを与えた。

またある作品では、微妙なグラデーションを漆で表現し、

その時々の感情を表した。

その作品は見る者に情熱と技術で感動を与えた。

 

ある日、修一は老いに抗えぬ体力の衰えを感じ、

自分がこの世を去る日が近づいていることを悟った。

彼は悠太に託すべきものがあると、彼に一つの箱を手渡した。

「これは私の一生の集大成だ。お前に託す。」

雄太は箱を開けた。

それは驚異的な輝きと美しさを持っており、

まるで漆塗りの技術そのものが語りかけてくるようだった。

「これは単なる作品ではない。

これは私の心、経験、そしてお前との時間が込められている。

これを通じて人々に感動を与え、伝えてくれ。」

修一はその日、静かにこの世を去りました

「心に残る作品を通じて人々に感動を与えること」

少なからず雄太はその一人になった。

そして雄太はその意思を受け継ぐ決意をした。

トイレという同じ場所

「はあぁ。間に合った。」

俺は急いで公衆のトイレに駆け込んだ。

落ち着いたところで周りを見渡す。

(おいおい。ここ掃除してんのかよ。)

小さな虫がしんでいたり、たばこを吸った形跡。

落書きまでしてある。意味不明な電話番号。

おいおい・・・。はあ。早く出たい。

これが俺の思った正直な感想だ。

 

「お邪魔します」

今日俺は友人宅を訪れた。

綺麗な部屋でゲームをしたりくつろいだ。

「トイレ借りていい?」

「ああ。あそこな。」「ありがとう」

扉を開けた瞬間からいい匂いがした。

そして、ふわふわの便座に腰を下ろす。

すうぅ。息を吸い込み、

はあぁ。深く息を吐く。

トイレットペーパーも香り付きかぁ。

落ち着くなあ。これが俺の思った正直な感想だ。

 

「よお!久しぶり!」

俺は後輩と居酒屋で待ち合わせた。

久しぶり会ったからか、話も弾み、酒がすすむ。

1時間ほど経ったころ、俺は席を外す。

そしてトイレに入った。

床はタイルで、白い便器は光っていた。

洗面台で手を洗いながら、鏡を見た。

キレイでオシャレなトイレだなあ。

これが俺の思った正直な感想だ。

 

明日は最近できた彼女とデートだ。

映画を観て、食事して、もしかしたら・・・。

なんて淡い思いを抱く。

そして部屋の掃除にとりかかる。

あ!そうだ。

俺は先日買ったインテリアを持って

トイレに入る。

クリスタルの置物や陶器。

ちょっとしたアートを壁に飾る。

おお!いい感じ。自分自身で納得する。

このトイレに入ってほしいなぁ。

これが俺の今の正直な気持ちだ。