雨上がりの公園で、小さな女の子は愛犬のココと遊んでいた。
ココはゴールデンレトリバーの子犬で、
ふわふわの毛並みとつぶらな瞳が愛らしい。
彼女とココはいつも一緒だ。
公園で駆け回ったり、ボール遊びをしたり、
時にはただ寄り添って日向ぼっこをする。
彼女は一人っ子で、友達はあまりいなかった。
引っ越しが多く、なかなか友達を作るのが苦手だった。
そんな彼女にとって、ココはかけがえのない存在だった。
ココはいつも優しく、彼女に寄り添ってくれる。
どんな時も彼女を笑顔にしてくれる。
ある日、彼女は学校で転んで膝を擦りむいてしまった。
痛みで泣きじゃくる彼女を見て、
ココはそっと横に寄り添い、
舌で優しく傷口をなめてくれた。
彼女はココの温もりを感じて、そっと抱きしめた。
その日から、彼女はココを
さらに愛おしく思うようになった。
ココは単なるペットではなく、
彼女にとってかけがえのない家族だった。
それから数年後、彼女は大人になり、
都会で一人暮らしを始めた。
仕事も忙しく、ココと一緒に過ごす時間は減ってしまった。
ある日、彼女は仕事帰りに
ふとペットショップの前を通りかかった。
店内を見ると、そこには小さなゴールデンレトリバーがいた。
まだ生まれて間もないように見えた。
子犬はガラス越しに彼女を見つめ、しっぽを振っていた。
彼女は子犬の瞳を見て、ハッと思った。
「ココ。元気かなぁ。」
最近は忙しく2か月程、実家に帰っていなかった。
その時、スマホが鳴った。
「ココが。今…息を引き取った。」
突然の連絡だった。
「なんで?なんで言ってくれなかったの!?」
「だって、昨日まで元気だったわよ。」
ココは、彼女に心配かけさせたくないと、
最後まで頑張って生き抜いていたのだった。
直ぐに実家に帰り、最後のココの姿を見届けた。
しばらくして彼女は、
再びペットショップの前を通りかかった。
小さなゴールデンレトリバーは何か訴えかけるように
つぶらな瞳で彼女を見つめた。
彼女はその瞳が、ココの瞳と重なって見えた。
新しい子犬の名前もココ。性格もそっくり。
「もう離れないからね。」
ココはすぐに彼女に懐き、いつも一緒に過ごしている。