都心の片隅にある古いアパート。
その一室で暮らす青年は、
退屈な日常に虚しさを感じていた。
そんなある日、彼は古びたノートパソコンを手に入れる。
起動してみると、奇妙なゲームがインストールされていた。
タイトルは「666の誘惑」。
そのゲームは、プレイヤーに選択を迫り
その選択に応じてストーリーが展開していく。
最初は些細な選択だった。
道で拾った100円硬貨を
ポケットに入れるか、交番に届けるか。
彼は100円硬貨を「ポケットに入れる」を選択した。
するとゲーム画面に「あなたは最初の誘惑に負けた」と表示された。
それから奇妙な出来事が起こり始める。
彼は些細なことでイライラしやすくなり、
周囲の人間関係が悪化していく。
次の質問はこうだった。
少女の前に大好きなケーキがある。
あげるか、食べるか。
彼は「食べる」を選択した。
するとゲーム画面に「あなたは2つ目の誘惑に負けた」と表示された。
翌週、彼は仕事でミスが続き、解雇されてしまう。
仕事を失った彼はゲームに没頭した。
ゲームは彼にさらに選択を迫ってくる。
お金を盗むか、正直に生きるか。
彼は「お金を盗む」を選択する。
するとゲーム画面に「あなたは3つ目の誘惑に負けた」と表示された。
そして翌月、父親が亡くなった。
彼はどんどん追い詰められていく。
そして遂に、ゲームは最後の選択を迫る。
このゲームに
命を捧げるか、抵抗するか。
現実世界で嫌なことが続いていた彼は、
人生に絶望していた。
そして「命を捧げる」を選択してしまう。
すると、パソコン画面が真っ暗になり、
同時に彼の部屋の電灯も消えた。
部屋の中は不気味な静寂に包まれる。
すると、背後から不気味な声が聞こえてくる。
「ゲームは終わった。さあ、命を差し出せ。」
彼は振り向くと、そこには真っ赤な目をした悪魔が立っていた。
悪魔は不気味な笑みを浮かべ、彼の魂を引き抜こうとする。
彼は、最後の力を振り絞って抵抗しようと試みるが、
悪魔の力には敵わなかった。
部屋には、パソコンと空の椅子だけが残された。
退屈や虚しさを感じ、時に落ち込んでいると、
刺激を求めて危険な選択をしてしまうことがある。
彼は正にその象徴であり、
人間の心の闇を映し出したのかもしれない。