小さな村の広場には、
錆びついた銃が突き刺さったままの記念碑があった。
子供たちはそれを「鉄の墓標」と呼んでいた。
それは、かつて村を襲った戦いの終焉を告げるものだった。
銃口からは、いつまでも枯れない赤い花が咲き続けていた。
村の古老、ハル爺さんは、子供たちにその銃の歴史を語り始めた。
それは、憎しみと絶望が渦巻いた時代の話。
村は焼き払われ、多くの人が命を落とした。
その銃は、最後の犠牲者の手から滑り落ち、
地面に突き刺さったのだという。
「この銃は、戦争の悲しみを忘れないために残された。憎しみは何も生まない。大切なのは、平和を大切にする心だ。」
その話を聞く子供たちの中に、二人の少年がいた。
彼らは幼い頃からの幼なじみ。
しかし2年前にふとしたことがきっかけで、喧嘩をした。
最初は口論。次は互いを無視し、
その次は感情を抑えきれずに殴り合いになった。
互いに傷ついた二人だったが、
「悪かったよ」「もうやめよう」
最終的には仲直りをした。
というよりも、より深い絆で繋がった。
「もし君たちの喧嘩に銃が使用されていたらどうなっていたと思うかい?」
「亡くなってしまった相手とは和解もできない。」
ハル爺さんの言葉は、子供たちの心に深く刻まれた。
「私たちは同じ過ちを繰り返さぬよう、未来を生きる子供たちへ伝えていかなければならない」
彼らは、銃を見つめ、戦争の恐ろしさを知った。
そして、平和な日々が当たり前ではないことを痛感した。
年月が流れ、ハル爺さんはこの世を去った。
しかし、「鉄の墓標」は村に残り続け、
少年だった二人は、ハル爺さんに変わって、
人々の心に平和の大切さを語りかけていた。