popoのブログ

超短編(ショートショート)

一つの飴の物語

「わあ、懐かしい!」

 

私は、実家で古いお菓子箱を見つけ、思わず声を上げた。

子供の頃に遊んだおもちゃや、読んだ絵本と一緒に、

小さなガラス瓶に入った飴玉を見つけたのだ。

 

その飴玉は、少し黄色がかった透明な色をしている。

子供の頃、大好きだったあの味だ。

私は、宝石のように輝く飴玉を指で転がしながら、昔を思い出した。

 

夏の暑い日、友達と川で遊んだ後、祖母が作ってくれたかき氷。

その上に、この飴玉を砕いてかけてもらった時の、あの爽やかな甘さ。

冬の寒い日、こたつで丸くなりながら、

祖母が読んでくれた昔話を聞きながら、

この飴玉を舐めていた時の、あたたかい気持ち。

 

私は、その飴玉をゆっくりと口の中に含んだ。

すると、甘く懐かしい味が広がり、

さらに様々な思い出が次々と蘇ってくる。

 

子供の頃の私は、何にでも好奇心がいっぱいだった。

小さな虫を追いかけたり、木に登ったり、冒険の毎日だった。

失敗することもたくさんあったけれど、

いつも祖母が優しく見守ってくれていた。

 

「大きくなったね。」

 

ふと、そんな祖母の温かい声が聞こえたような気がした。

私は、目を閉じ、その優しい声に包まれるように、静かに過ごした。

 

しばらくして、飴玉はすっかり溶けてなくなっていた。

私は、再びお菓子箱を開き、中のものを一つ一つ丁寧に見ていった。

 

おもちゃは、少し傷んでいたけれど、昔と同じように手に馴染む。

絵本は、ページが黄ばんで、ところどころ破れていたけれど、

文字を追うと、子供の頃の自分がそこにいるような気がした。

 

私は、これらの思い出の品を大切に抱きしめ、

祖母に感謝の気持ちでいっぱいになった。

 

「おばあちゃん。また会いたいなあ。」