popoのブログ

超短編(ショートショート)

パイナップルの置物

私は、都会の喧騒の中で、

今日もパソコンに向かっていた。

昇進を目前にして、仕事は充実している。

しかし、心はどこか満たされない。

週末は、いつもと同じように、

友人と食事に行ったり、ショッピングに出かけたりする。

それでも、何かが足りないような気がしていた。

 

そんなある日、妹からメッセージが届いた。

 

ピコン。

 

「おねえちゃん!これ覚えてる?」

 

ピコン。

 

そこには昔、母にもらった

パイナップルの置物の写真があった。

 

後日、私のもとに、そのパイナップルの置物が届いた。

これは母が大切にしていた置物。

なんでも新婚旅行で買ったものらしい。

 

箱の中には、一通の手紙が添えられていた。

 

おねえちゃんへ

元気してるかな?私は元気だよ!

責任感のあるおねえちゃんのことだから、

無理して頑張りすぎてるんじゃないの?

ほどほどにね。

この前、お母さんの遺品を整理していたの。

そしたら、この置物が出てきた!

懐かしいよね。

どっちの部屋に置くか、よくケンカしたね。

私もおねえちゃんも、パイナップルが大好きな人。

何だか笑えるね。

たまには会いに来てね!私も会いに行くから!

この置物は、やっぱりおねえちゃんがよく似合う。

大切にしてね。      妹より

 

私はそっと、パイナップルの置物を手に取る。

 

「ほら、裏を見てごらん」

 

母親の優しい声が、耳元で響くような気がした。

 

私の手は置物を裏返していた。

 

どんなときも、あなたは太陽のように輝ける。

強く育つパイナップルの様に上を向いていようね。

愛を込めて。        お母さん

 

私たちはこの置物と、このメッセージが大好き。