俺は久しぶりに故郷に帰り
昔よく遊んだビーチを訪れた。
穏やかな波が打ち寄せる砂浜。
きっと今年の夏も
たくさんの人たちがここを訪れ、
たくさんの思い出を作ったのだろう。
俺はしばらく砂浜を歩く。
さっきまで遠くにあったテトラポッドが
近くなってきた。
昔はよくこの辺りで
小さな蟹を探していた。
そんな思い出が蘇る。
今度は砂浜から陸を眺める。
海岸線を走る数台の車。
そしてその向こうには
小さなカフェが見える。
大人になってこの町を離れ、
すっかりそのカフェを忘れていた。
初めてできた彼女と
初めて訪れたカフェ。
俺にとってはこのビーチと
同じくらい大切な場所。
そんな物思いにふけていると、
いくつかのゴミが目に入った。
俺は自然と近づき、拾い上げた。
その瞬間なんだか寂しくなった。
俺と同じようにここに訪れ、
思い出を作った人たちが、
この場所にゴミを残した。
その現実がちょっと残念だった。
俺は再び、この砂浜から海を眺める。
この先には他の大陸や島があり
全ての人たちとの繋がりを感じる。
みんなと繋がるこの海と
美しく広いこの砂浜を
俺は大切に守っていきたい。
そんな小さなチカラが湧いてきた。