「ふぅ、今日も一日お疲れ様。」
いつものように、店の明かりが消え静けさが訪れる。
招き猫の私は、レジカウンターの上から見下ろす。
今日はいつもよりお客さんが少なかったな。
少し寂しいけれど、明日こそはたくさんの人が来てくれるだろう。
そう思っていると、急に体が軽くなったような気がする。
あれ?もしかして…飛んでる?
私は、お店のガラス戸をすり抜け、夜の街へと飛び出した。
煌びやかなネオンサインが街を彩り、普段とは違う景色が広がっている。
「わぁ、すごい!こんなにも広いんだね、世界は。」
私は、街を駆け巡り、色々な場所を見て回る。
高いビルの上から街を見下ろしたり、
公園で猫たちとじゃれたり、空から海を眺めたり。
そんな楽しい時間はあっという間に過ぎ、夜が明け始めた。
私は、急いでお店に戻らなければ。
そして、やっとお店の近くまで来た時、
「あれ?ここは…。」
見慣れないお店だ。何屋さんだろう?
私は興味本位に店内へ。
「いらっしゃいませ!」
元気な声が聞こえた。
振り向くと、そこには店員さんが立っていた。
「あの、ここは何屋さんですか?」
「当店は、夢を叶えるお店です。お客様の願いなら、何でも叶えて差し上げますよ。」
店員さんは、そう言うと、私に魔法の杖を差し出した。
「これで、あなたの願いを叶えてみましょう。」
私は、少し考え込む。
「えっと、私は…みんなに幸せになってほしいです。」
そう言うと、魔法の杖から光が溢れ出した。
「これで招き猫さんに会う人はみんな笑顔になるよ」
「ありがとう。」
店員さんに感謝の言葉を伝えると、
私は再び元の店に戻っていた。
「あれは夢だったのかな?」
私は、いつもの場所に座り、今日も笑顔でお客さんを待つ。
「ママ!猫さんが笑った!」