popoのブログ

超短編(ショートショート)

小さな生命

ぽかぽか温かい場所で、私は眠っています。

まだ何も見えませんが、時々、ふわふわとした優しいものが

私の体を包み込むのが分かります。

それは、お母さんの温かい手でしょうか?

 

お母さんの心臓の音は、まるで心地よい子守唄。

ドクンドクと響く鼓動が、私を包み込んでくれる。

時々、お腹がすくと、お母さんは美味しいものをたくさん食べてくれる。

そのたびに、私はくるくると回転しながら、お母さんの愛情をたっぷり味わう。

 

時々、お腹の外でいろんな音が聞こえます。

それは、お父さんの声でしょうか?

優しい歌声が聞こえてくる時もあります。

私が生まれる前に、たくさん話しかけてくれているのでしょう。

 

お父さんの大きな手が、私のいるお腹を優しく撫でてくれる。

その温かさに、私は安心して眠りにつく。

 

お母さんとお父さんは、毎日私に話しかけてくれる。

私のことをどれほど愛しているか、どんな名前を付けようか、

どんな未来が待っているか……。

そんな二人の言葉を聞くたびに、私は嬉しくてたまらない。

 

特に楽しみなのは、お母さんの笑顔を見ることです。

きっと、私と会えたお母さんは、

世界で一番幸せな笑顔を見せてくれるはずです。

その笑顔を見るために、私は毎日元気に育っています。

 

あと少しで、この温かい場所から出て、

新しい世界へ旅立ちます。

少しドキドキしますが、きっと大丈夫。

だって、大好きなお母さんと一緒だから。

 

お母さん、もうすぐ会えますね。

私が生まれたら、ぎゅっと抱きしめてください。

そして、たくさんの愛情を分けてください。

 

生まれるのが待ち遠しいよ。

 

私はその会話と共にベッドの上で目を覚ます。

「もしかして…」

 

その日、私は産婦人科を訪れた。

 

「おかあさん。」

 

「おめでとうございます。」

 

私はその言葉に涙を流した。