popoのブログ

超短編(ショートショート)

40祭の夜

街は、煌めくネオンサインが夜空を彩り、

大人たちの熱気を帯びていた。

 

そんな中、静かに佇むレストランに、二組の男女の姿があった。

一組は、どこか緊張した面持ちの翼と美樹。

もう一組は、温かい笑顔を絶やさない智也と由美。

彼らは、高校時代からの同級生であり、今日が40歳の誕生日、

いわゆる「40祭」を迎えた。

 

翼と美樹は、高校時代からお互いを意識し、卒業後に結婚。

現在は二人の子供を育てる、どこにでもいる平凡な夫婦だった。

しかし、美樹はどこか物足りなさを感じていた。

華やかな40祭の場にいても、心はどこか晴れない。

一方、智也と由美は、結婚後も変わらず仲睦まじく、

周囲から羨望のまなざしを向けられていた。

 

食事中、話題は自然と高校時代のことへ。

若かった頃の夢や、あの頃の自分たちを懐かしみ、笑い声が響く。

しかし、美樹の心はどこか離れていた。

若かりし頃の夢を叶えられた翼や智也、由美。

美樹は「わたしだけ…」のように感じてしまい、焦燥感が募る。

 

食事を終え、デザートの時間がやってきた。

美樹は、テーブルの上のケーキを見つめながら、複雑な心境だった。

翼はそんな美樹の様子に気づき、優しく声をかけた。

 

「美樹、どうしたんだ?」

 

美樹は、溜め息をつきながら、翼に今の気持ちを打ち明けた。

 

「みんな、それぞれの場所で輝いていて…

 

私は、一体何をしてきたんだろうって」

 

翼は、美樹の言葉に優しく耳を傾けた後、

「美樹は、僕と結婚して、子供を産んで、家庭を築いた。

それは、誰にでもできることじゃない。素晴らしいことだよ」と告げた。

 

美樹は、翼の言葉に少しだけ気持ちが楽になった気がした。

でも、心の奥底にはまだ何かが引っかかっている。

 

その後、4人は再び昔話に花を咲かせ、楽しい時間を過ごした。

そして、夜が更けるにつれて、店を後にした。

 

満天の星の下、翼と美樹は家路につく。

美樹は、今日のことを考えながら、静かに語り始めた。

「翼、私たち、これからどうする?」

 

翼は、美樹の手を握りしめ、

「これからも、一緒に歩んでいこう」と答えた。

 

美樹は、翼の言葉に、かすかな希望を感じた。

40歳という節目を迎え、新たな章がはじまる。

美樹は、これからの人生をどう歩んでいくのか、

まだ答えは見つかっていない。

しかし、翼と一緒なら、きっと乗り越えられる気がした。

 

40祭の夜、二組の夫婦はそれぞれの未来を見つめながら、

静かに夜空を見上げていた。