popoのブログ

超短編(ショートショート)

恋人岬の鐘

波の音、そして潮風。

恋人岬の展望台に立つ二人は、紺碧の海を背景に、静かに時を刻んでいた。

 

「さあ、鳴らしましょう」

 

優希がそう言うと、彩は少し緊張した面持ちで愛の鐘に手を伸ばす。

この鐘には、恋人が名前を呼びながら3回鳴らすと、

二人の愛が永遠に続くという言い伝えがある。

 

「優希…優希…優希…」

 

彩は、優希の名前を力強く呼びながら、鐘の紐を強く引いた。

澄んだ音が、二人の心を震わせ、広大な空へと響き渡る。

 

「次は私の番ね」

 

優希は、彩の手を握りしめ、優しく微笑んだ。

そして、彩の名前を、愛を込めて口にする。

 

「彩…彩…彩…」

 

優希の声は、彩の心に温かい光を灯す。

二つの声が重なり合い、一つのハーモニーを奏でる。

 

「私たち、ずっと一緒にいようね」

 

優希の言葉に、彩はうなずく。

 

「うん。永遠に」

 

二人は、再び手を握りしめ、静かにキスを交わした。

 

鐘の音は、やがて風に乗って消えていったが、

二人の心に刻まれた感動は、永遠に色褪せることはないだろう。

 

恋人岬から数日後、二人はいつものようにデートを楽しんでいた。

 

「あの日、鐘を鳴らしたとき、本当に幸せだった」

 

彩がそう言うと、優希は優しく髪を撫でた。

 

「僕もだよ。あの瞬間、彩との未来が永遠に続くことを確信した」

 

二人は、これからもずっと、こうして一緒に笑って、

一緒に泣いて、人生という素晴らしい物語を紡いでいくのだろう。