popoのブログ

超短編(ショートショート)

子猫の冒険

稲妻が光り、轟く雷鳴が夜空を切り裂く嵐の夜、

一匹の子猫が生まれた。

真っ黒な毛並みと、宝石のように輝く琥珀色の瞳が特徴の、

その子猫は「クロ」と名付けられた。

クロは、優しい飼い主の女の子と、二匹の兄妹猫たちと、

のびのびと幸せな日々を送っていた。

 

ある冬の朝、クロはいつもと違う朝の光に目を覚ました。

窓の外には、一面の銀世界が広がっていた。

雪はキラキラと輝き、クロは思わず窓に顔を近づけた。

その瞬間、不思議な感覚がクロを包み込む。

眩い光が部屋中に広がり、クロは意識を失ってしまった。

 

気がついたとき、クロは全く知らない場所にいた。

そこは、動物たちが人間のように二足歩行で歩き、

互いに言葉を交わし、様々な仕事をしていた。

猫の姿をしたクロは、この世界で少し浮いていたが、

親切な猫の老人に助けられる。

老人は、クロが「むにゃわーるど」と呼ばれるこの世界に、

雪の魔法で迷い込んできたことを教えてくれた。

 

むにゃわーるどは、魔法や不思議な生き物たちが暮らす、

ファンタジーの世界だった。

クロは、むにゃわーるどで様々な冒険を経験する。

空飛ぶ猫とのレースに参加したり、

魔法の森で迷子になった子猫を助けたり、

賢いフクロウから不思議な話を聞いたり。

むにゃわーるどでの日々は、クロにとって忘れられない思い出となった。

 

しかし、クロは故郷である地球と、優しい飼い主のことが忘れられなかった。

ある日、クロは勇気を振り絞り、老人に地球へ帰る方法を尋ねる。

老人は、満月が夜空に輝く特別な夜に、雪が降る場所で願いを唱えれば、

元の世界に戻れるかもしれないと教えてくれた。

 

満月の夜、クロは雪が降り積もる丘にやってきた。

深呼吸をして、心の中で飼い主の名前を呼ぶ。

すると、眩い光がクロを包み込み、再び意識を失ってしまった。