小さな漁村で暮らす兄弟、ケンジとユウタは、
父の漁を手伝いながら、大好きな海を駆け回る毎日を送っていた。
「ユウタ、見てみろよ!あんなに大きな魚が獲れたぞ!」
「すごい!兄ちゃん、やっぱり漁が上手いね!」
「へへへ、父ちゃんに教わったからな。」
「ユウタも早く一人で漁に出られるようになれよ。」
「うん!僕も頑張る!」
穏やかだった日常は一変し、島民たちは不安と混乱に包まれる。
そんな中、ケンジとユウタは、
島で唯一の灯台守であるおじいと出会う。
おじいは、戦争で息子を亡くした悲しみを抱えながらも、
島の人々のために灯台を守り続けていた。
「おじい、今日も灯台の光が綺麗だね。」
「ああ、この光はな、島を守るだけでなく、海を渡る船の道しるべにもなっているんだ。」
ケンジとユウタは、おじいとの触れ合いを通して、
戦争の悲惨さや、故郷への想いを深くしていく。
「おじい、灯台の仕事って大変なの?」
「大変なこともあるが、この光を守ることは、私の大切な役目だからな。」
そして数日後、ソ連軍による強制送還が始まる。
ケンジとユウタの家族も、島を離れることを余儀なくされる。
「ユウタ、明日、僕たちはこの島を離れるんだ。」
「うん…寂しいよ。」
船に乗る前夜、ケンジとユウタはおじいと最後の約束を交わす。
「必ず、この島に帰ってくる」