popoのブログ

超短編(ショートショート)

約束の灯台

舞台は第二次世界大戦終結直後の色丹島

 

小さな漁村で暮らす兄弟、ケンジとユウタは、

父の漁を手伝いながら、大好きな海を駆け回る毎日を送っていた。

 

「ユウタ、見てみろよ!あんなに大きな魚が獲れたぞ!」

 

「すごい!兄ちゃん、やっぱり漁が上手いね!」

 

「へへへ、父ちゃんに教わったからな。」

 

「ユウタも早く一人で漁に出られるようになれよ。」

 

「うん!僕も頑張る!」

 

しかし、終戦を迎えたある日、島にソ連軍がやってくる。

 

穏やかだった日常は一変し、島民たちは不安と混乱に包まれる。

 

そんな中、ケンジとユウタは、

島で唯一の灯台守であるおじいと出会う。

 

おじいは、戦争で息子を亡くした悲しみを抱えながらも、

島の人々のために灯台を守り続けていた。

 

「おじい、今日も灯台の光が綺麗だね。」

 

「ああ、この光はな、島を守るだけでなく、海を渡る船の道しるべにもなっているんだ。」

 

ケンジとユウタは、おじいとの触れ合いを通して、

戦争の悲惨さや、故郷への想いを深くしていく。

 

「おじい、灯台の仕事って大変なの?」

 

「大変なこともあるが、この光を守ることは、私の大切な役目だからな。」

 

そして数日後、ソ連軍による強制送還が始まる。

 

ケンジとユウタの家族も、島を離れることを余儀なくされる。

 

「ユウタ、明日、僕たちはこの島を離れるんだ。」

 

「うん…寂しいよ。」

 

船に乗る前夜、ケンジとユウタはおじいと最後の約束を交わす。

 

「必ず、この島に帰ってくる」