popoのブログ

超短編(ショートショート)

温め3分

朝7時、目覚まし時計がけたたましく鳴り響く。

 

寝ぼけ眼をこすりながら、男はベッドから飛び起きた。

 

今日は大事なプレゼンがある。

 

「あと30分しかない!」

 

目覚まし時計の爆音で飛び起きた僕は、

焦りながらも、手早く身支度を済ませた。

 

ネクタイを締め、ジャケットを羽織る。

 

「そうだ、朝ごはん!」

 

しかし、冷蔵庫を開ける時間はない。

 

あと10分以内には家を出ないといけない。

 

大事なプレン前に腹をすかしていてはパワーが出ない。

 

(どうしよう…)

 

「そうだ!これだ!!」

 

目に飛び込んできたのは、昨日コンビニで買ったレトルトカレーだった。

「温め3分、すぐ食べられる」という

キャッチコピーが、忙しい僕の目に留まった。

 

僕はレトルトカレーを手に取り、電子レンジに放り込んだ。

 

その3分間で僕はまた支度をする。

 

チーンっ!

 

3分後、熱々のカレーが完成した。

 

僕は急いでカレーを取り出し、熱々のご飯にぶっかけた。

 

湯気とともに立ち上るスパイシーな香り。

僕の持つスプーンは豪快にカレーをすくい上げた。

 

「うまい!」

 

口の中に広がる濃厚なルーの旨味。

そして、ゴロゴロと入った野菜と肉の優しい甘さ。

カレーの香りと味が脳を刺激し、

身体中にエネルギーが満ち溢れていく。

 

「ああ!幸せが爆発しそうだ!」

 

「まるで、僕の朝を応援してくれているようだ」

 

あっという間にカレーを平らげ、再び時計を見た僕は、

カバンを掴んで家を飛び出した。

 

「今日も、頑張るぞ!」

 

カレーのパワーを胸に、僕は駅へと向かう。

 

電車の中で、僕はふと思った。

 

「あのカレー、本当に3分で温まったのかな?」

 

パッケージにはそう書いてあったが、

実際にはご飯がアツアツだっただけのような気もする。

 

「まあ、いいか」

 

と、微笑んだ僕は無事に会社にやって来た。

 

「おはようございます!」

僕の声に、同僚たちは少し驚いたようだ。

いつも小さな声の僕が、元気にあいさつしたからだろう。

 

「どうしたんですか? いつもより元気ですね」

 

同僚の一人が声をかけてきた。

 

「ああ、今日は大事なプレゼンだからね」

 

僕は笑って答えた。

 

今日の朝は、レトルトカレーのおかげで、

いつもとは少し違う一日になった。

そして、何気ない日常の風景も、少し違って見えた。

 

僕は朝からパワーをくれたレトルトカレーに感謝した。

 

そして、これからも忙しい朝には、

この魔法のような食べ物に頼ろうと思った。

 

「温め3分、すぐ食べられる」

 

このキャッチコピーは、僕にとって最高の言葉だ。