「おばあちゃん!今日もいろいろお話聞かせてね。」
「あら、ユイちゃん、よく来たね。さあ、お茶でも飲んでゆっくりしていきなさい。」
「ありがとう!おばあちゃん、いつも不思議に思うんだけど、おばあちゃんが話す言葉って、なんかちょっと違うよね?」
「ほお、ユイちゃん、よーく気づいたね。あれはね、フトゥバって言うんだよ。鹿児島の、特に奄美の方言なんだ。」
「フトゥバ…?初めて聞いた!」
「フトゥバはね、私たちの言葉って意味さ。昔からずっと、この土地で生きてきた人たちが話してきた大切な言葉なんだよ。」
「そうなんだ!おばあちゃんはいつからフトゥバで話してるの?」
「そりゃあ、物心ついた時からさ。家でも、近所でも、みんなフトゥバで話してたからね。学校では標準語を習ったけど、やっぱりフトゥバが一番落ち着くんだ。」
「へえ~。ねぇねぇ、なんか面白いフトゥバある?」
「ほう、面白いフトゥバね… 例えばね、“あいがとさあ”って言ったら、“ありがとう”って意味だよ。“よか”は“良い”、“きばいやんせ”は“頑張って”って意味さ。」
「へえー!全然違う!なんか魔法みたい!」
「ハハハ。そうだねえ。フトゥバは、私たちの心を繋ぐ魔法みたいなものかもしれないね。嬉しい時も、悲しい時も、フトゥバで話すと、気持ちが伝わるんだ。」
「そうなんだ!ねぇねぇ、話すときはどんな気持ち?どんな気持ちになるの?」
「そうだねえ… フトゥバを話すと、なんだかあったかい気持ちになるんだ。昔の思い出が蘇って、懐かしい気持ちになるし、何より、この土地で生きてきた人たちとの繋がりを感じるんだ。」
「わたしもフトゥバ話せるようになりたいな!」
「ハハハ。嬉しいねえ。」
「おばあちゃんがさっき言ってた“あいがとさあ”って言葉、すごく温かい感じがするね!」
「そうじゃろ?フトゥバには、優しい響きや温かい気持ちが込められているんだよ。」
「もっと教えてほしいな!」
「ユイちゃんは欲張りじゃねえ(笑)よかよ、もっと教えてあげよう。例えばね、“てげてげ”って言葉は知ってる?」
「ん?“てげてげ”?聞いたことない!どんな意味?」
「“てげてげ”はね、だいたいとか、適当って意味なんだ。でもね、ただ適当って意味じゃなくて、いい加減にせず、ほどほどに、という意味も含まれているんだよ。」
「へえー!面白い!“てげてげ”って、なんかゆるくて可愛い言葉だね。」
「そうじゃろ?フトゥバには、ユーモラスな表現や、奥深い意味を持つ言葉がたくさんあるんだよ。」
「おばあちゃん、フトゥバって、いつからあるの?」
「フトゥバの歴史は、とても古いんだよ。琉球の言葉や、日本の言葉、色々な言葉が混ざり合って、今のフトゥバになったと言われているんだよ。」
「すごい!」
「フトゥバは、私たちの祖先が、色々な人たちと交流してきた証でもあるんだよ。」
「フトゥバって、奥が深いんだね。もっともっと知りたくなった!」
「嬉しいねえ、ユイちゃん。フトゥバは、私たちの宝物だから、ユイちゃんも大切にしてあげてね。」
「うん!おばあちゃん、ありがとう!今日はたくさんフトゥバのこと教えてもらって、本当に楽しかった!」
「どういたしまして。いつでもおいで。ユイちゃんがフトゥバを好きになってくれたら、私は本当に嬉しいよ。」