popoのブログ

超短編(ショートショート)

6人の容疑者

真っ白な部屋で、青年は目を覚ました。

冷たく滑らかな壁、無機質な床、

そして頭上には眩しいほどの照明。

記憶を辿ろうとするが、何も思い出せない。

 

「ここは…どこだ?」

 

戸惑いながらも立ち上がると、

部屋には彼を含めて6人の男女がいた。

互いに見覚えはなく、状況を把握しようと試みるが、

誰もが困惑している様子だ。

 

「一体、何が起こっているんだ?」

 

不安が広がる中、突然、部屋にアナウンスが響き渡った。

 

「皆さん、ようこそ。ここは『審判の部屋』。あなたたちは、ある事件の容疑者として集められました。これから、この部屋から脱出するためのゲームを開始します。制限時間は60分。時間内に謎を解き、出口を見つけなければ、あなたたち全員に罰が与えられます」

 

アナウンスが終わると同時に、

部屋の壁に大きなモニターが現れた。

モニターには、6人の顔写真と名前、

そしてそれぞれの罪状が映し出されていた。

 

青年:過失致死罪、運転中に他人を死なせてしまった疑い

女性A:詐欺罪、過去に多額の金銭を騙し取った疑い

男性B:横領罪、会社の金を使い込んだ疑い

女性C:窃盗罪、宝石店から高価な宝石を盗んだ疑い

男性D:傷害罪、暴行事件を起こし、相手に重傷を負わせた疑い

女性E:殺人未遂罪、毒物を使って人を殺そうとした疑い

 

「こんなの、ありえない!」

 

女性Aが声を荒げた。

他のメンバーも、身に覚えのない罪状に戸惑いを隠せない。

しかし、モニターには無情にもカウントダウンが表示され、

ゲーム開始までの時間が刻々と迫っていた。

 

部屋の中央には、大きなテーブルがあり、

その上には様々なアイテムが置かれている。

古びた鍵、謎の記号が書かれた紙、そして小さな箱。

 

「どうやら、これらのアイテムを使って謎を解くしかないみたいだ」

 

青年がそう言うと、他のメンバーも

それぞれのアイテムを手に取り、調べ始めた。

しかし、どれもが意味深で、簡単に解けるようなものではない。

 

時間だけが過ぎていく中、焦りと疑念がメンバーたちの間に広がっていく。

互いに罪状を知ってしまったことで、疑心暗鬼になり、

協力し合うことが難しくなっていた。

 

「もしかしたら、この中に本当に罪を犯した者がいるのかもしれない」

 

誰かがそう呟くと、部屋の空気はさらに重くなった。

互いを疑い、非難し合う中で、ゲームの時間は刻々と過ぎていく。

 

果たして、彼らは互いに協力し、謎を解き明かし、

無事に脱出することができるのだろうか?

それとも、疑心暗鬼のまま時間切れとなり、

罰を受けることになるのだろうか?

 

ゲームの行方は、彼ら自身の選択にかかっている。

 

信じる気持ちが皆にあれば…きっと。