popoのブログ

超短編(ショートショート)

金さん

時は天保年間、江戸の町は表向きは泰平を謳歌していたが、

裏では悪徳両替商「越後屋」が暗躍していた。

 

越後屋の主人、黒江の伝兵衛は、表向きは両替商を営みながら、

裏では幕府の御用金を担保に高利貸しを行い、貧しい人々を食い物にしていた。

 

ある日、金さんはいつものように遊び人の姿で市井を歩いていた。

すると、一人の老婆が泣きながら訴えてきた。

「どうかお助けください、越後屋に娘を人質に取られているんです。」

話を聞けば、老婆の息子が病に倒れ、越後屋から金を借りたが、

返済できずに娘を人質に取られたという。

 

金さんは老婆を安心させ、越後屋の内情を探ることにした。

 

夜になり、金さんは越後屋に潜入し、

黒江の伝兵衛が御用金を担保に悪事を働いている証拠をつかんだ。

さらに、伝兵衛は娘を遊郭に売り飛ばそうと企んでいた。

 

翌日、金さんは奉行所に黒江の伝兵衛を呼び出した。

伝兵衛はしらを切り、証拠がないと開き直った。

 

その時、金さんは着物をはだけ、桜吹雪の刺青をあらわにした。

 

「この桜吹雪が見えねえか!昨晩、お前の悪行をこの目でしかと見た。お天道様は見てござる、悪事は必ず暴かれる。」

 

伝兵衛は震え上がり、ついに悪事を白状した。

金さんは伝兵衛を厳しく裁き、娘を老婆の元に返した。

 

その後、黒江の伝兵衛は裁かれた。

そして江戸の町にはしばらくの間、平穏な日々が訪れた。

しかし、悪の根は深く、すぐにまた新たな事件が持ち上がる。

 

「どんなに悪を裁いても、また新たな悪が生まれる。人間の欲望、憎しみ、妬み…。悪は決してなくならない。」

 

「しかし、だからこそ、正義もまた、決して滅びてはならない。私が戦い続ける限り、この世には必ず光がある。一人でも多くの人が笑顔を取り戻せるなら、私はいつまでも戦い続ける。」