popoのブログ

超短編(ショートショート)

This is us

スーパーボール・サンデー。

それは、いつものように穏やかな、

しかし特別な日曜日だった。

 

ピアソン家では、スーパーボウルのテレビ中継を前に、

父ジャックがパンケーキを焼き、

レベッカがコーヒーを淹れていた。

ケヴィン、ケイト、ランダルの三つ子は、

ソファーでゲームに夢中になり、

笑い声がリビングに響いていた。

 

しかし、その幸せな時間は、

古いクロックポットの発火によって突然終わりを告げる。

 

家中に煙が立ち込め、炎が燃え広がった。

ジャックは、家族を守るために勇敢に行動し、

レベッカと子供たちを安全に脱出させた。

 

しかし、彼は家の中に残された愛犬、ルイスを助けるために

再び炎の中へと飛び込んでいった。

 

ジャックは、煙と炎に包まれた家の中で必死にルイスを探し出し、

ついに彼を抱きかかえて脱出した。

彼は煤だらけになりながらも、安堵の表情を浮かべていた。

 

しかし、その夜、

ジャックは病院で突然の心停止に見舞われ、

帰らぬ人となった。

 

翌朝、レベッカは子供たちにジャックの死を告げた。

子供たちは、信じられないという表情で涙を流し、

レベッカは彼らを抱きしめながら、必死に涙をこらえていた。

 

「どんなに酸っぱいレモンでも、レモネードを作ることはできる」

 

ジャックが言ったこの言葉を子供たちは思い出す。

 

ジャックの死は、ピアソン家にとって計り知れない喪失であり、

彼らの人生を大きく変える出来事となった。

 

ジャックの死後、ピアソン家は深い悲しみに包まれた。

 

「彼が死んだ時、私の一部も一緒に死んだ。」とレベッカは語る。

 

それでもレベッカは、夫を失った悲しみを乗り越え、

子供たちを育てていく決意を固めた。

 

ケヴィン、ケイト、ランダルは、父親の死を通して、

人生の儚さや家族の大切さを痛感し、

それぞれが自分の人生と向き合っていくことになる。

 

ジャックの死は、単なる悲劇ではなく、

彼の生き様や家族への愛情を通して、

生きることの意味や大切さを伝えるものでもあった。

 

「父さんは、僕に最高の人生を与えてくれた。」

 

ジャック・ピアソンの死という出来事。

家族の絆、喪失、そして再生。

 

迎えた3つ子の36歳の誕生日。

 

「僕は、これまでずっと何かを探していた。でも、それが何なのか分からなかった。今日、36歳になって、ようやく分かった。僕は、ただ幸せになりたかったんだ。」

 

「私は、これまでずっと自分のことを嫌っていた。でも、今日、36歳になって、ようやく自分のことを受け入れられるようになった。私は、私らしく生きていく。」

 

「僕は、これまでずっと完璧であろうとしてきた。でも、今日、36歳になって、完璧である必要はないと分かった。僕は、ただ自分らしく生きていく。」

 

「THIS IS US. 36歳、これから」