縁側で囲碁を打つ老人二人、源さんと茂さん。
盤上には黒と白の石が複雑に絡み合い、静かな時間が流れていた。
「源さん、またしても私の勝ちのようじゃな」
「いやいや、まだ勝負は分からんよ」
源さんはそう言いながらも、盤面をじっと見つめていた。
「しかし、こうして囲碁を打つのは本当に楽しいのう。若い頃は仕事に追われて、なかなか時間が取れなかったが、今はこうして好きなだけ囲碁ができる。人生、何が起こるか分からんもんじゃな」
茂さんがしみじみと言った。
「本当にそうじゃな。わしも若い頃は、まさかこんなに囲碁にハマるとは思ってもみなかった。でも、こうして茂さんと出会って、囲碁を教えてもらって、本当に良かった」
源さんが笑顔で言った。
「わしもじゃ。源さんとこうして囲碁を打つ時間は、わしにとってかけがえのないものじゃ」
茂さんも笑顔で言った。
二人はしばらく無言で盤面を見つめていたが、やがて源さんが口を開いた。
「茂さん、わしは最近、人生について考えることが多いんじゃ」
「ほう、どんなことを考えているんじゃ?」
茂さんが尋ねた。
「わしは、人生はまるで囲碁のようだと思うんじゃ。良い手を打てば良い結果になるし、悪い手を打てば悪い結果になる。でも、たとえ悪い手を打ってしまっても、諦めずに次の手を考えれば、まだ挽回できるチャンスはある。人生も同じじゃ。たとえ失敗しても、諦めずに次の目標に向かって進めば、きっと道は開ける」
源さんはそう語った。
「なるほど、源さんらしい考えじゃな。わしも、人生は囲碁に似ていると思う。でも、わしはもう少し気楽に考えている。人生は楽しむためにある。良いことも悪いことも、すべてひっくるめて楽しめば良い。そうすれば、きっと豊かな人生を送れるじゃろう」
茂さんはそう語った。
「茂さんの言う通りじゃな。人生は楽しむためにある。わしも、これからはもっと気楽に生きていこうと思う」
源さんはそう言って、笑顔を見せた。
二人は再び盤面に向き合い、静かに囲碁を打ち始めた。
盤上には黒と白の石が複雑に絡み合い、静かな時間が流れていた。
夕日が差し込み、二人の影が縁側に長く伸びていた。