popoのブログ

超短編(ショートショート)

それでも…

うちの母は遊び人だ。

シングルマザーといえば聞こえがまだいい。

家庭ある男性と不倫して妊娠した。

と言ったらどうだろう。

 

幼い頃、学校から帰っても母はいない。

帰ってくるのは深夜だ。

 

起きていると怒られる。

だから俺はいつも寝て待つ。

玄関のガチャンとなる音を待ちわびて。

 

そして成長した俺が言われたのは

「ひとりで暮らしたら?」

 

俺は学生時代に家を出た。

 

家族とは何なのだろう。

いつも俺はうなされる。

 

勝手な奴だ。

ひどい奴だ。

愛のない奴だ。

 

でも、それでも母親だ。

 

俺は今日もうなされる。

 

大人になり、俺は理解を深めた。

母には母なりの事情があったのだろう。

 

だってそんな冷たい母はいない。

だってそんなひどい母はいない。

 

「ねぇ。旅行行きたいの。お金貸して。」

 

「お金ないよ。」

 

「だったら、お金借りてきて。」

 

家族とは何なのだろう。

 

それでも母なんだ。

 

「うん。わかったよ。」

 

俺は今日も笑っている。