popoのブログ

超短編(ショートショート)

流行歌

少しレトロな雰囲気の漂う、海辺のカラオケボックス

窓からは、オレンジ色に染まり始めた空と、

キラキラと輝く海面が見える。

 

「次、何歌う?」

 

高校時代からの友人、ユウタがリモコンを手に、笑顔で尋ねた。

 

「やっぱり、あれしかないでしょ!」

 

マナミがそう言うと、サクラとコウタも大きく頷いた。

 

「あの曲!」

 

4人が声を揃えてそう言うと、

ユウタは少し照れながらも、リモコンを操作し始めた。

 

イントロが流れ出すと、

4人は顔を見合わせ、笑顔を弾けさせた。

それは、高校時代、毎日のように聞いていた歌。

そして、毎日口ずさんでいた、思い出の曲だった。

 

「あれから、もう10年か…」

 

サクラが少し感傷的に呟くと、マナミが明るく言った。

 

「でも、こうしてまた、みんなで集まれてるんだから、最高じゃん!」

 

マナミの言葉に、みんなも笑顔で頷いた。

 

歌がサビに差し掛かると、4人は立ち上がり、

肩を組み、大声で歌い始めた。

 

「忘れられない、僕らの日々~!」

 

歌に合わせて、手拍子が響き、自然と体が揺れる。

まるで、高校時代に戻ったかのような、錯覚を覚えた。

 

歌い終わると、4人は顔を見合わせ、笑い合った。

 

「やっぱり、この曲は最高だね!」

 

コウタがそう言うと、みんなも大きく頷いた。

 

「次は、最近の流行歌も歌おうよ!」

 

ユウタがそう言って、リモコンを操作し始めた。

 

最新のヒットソングが流れ出すと、

4人はそれぞれ好きなアーティストの曲を

歌い、踊り、笑い合った。

 

窓の外は、いつの間にか夜の帳が下り、

星空が広がっていた。

 

そしてカラオケボックスの中は、温かい光と、

4人の笑い声で満たされていた。

 

歌を通して、友情を確かめ合い、思い出を共有する。

そんな、かけがえのない時間が、ゆっくりと流れていった。