僕は、高校入学したものの、特にやりたいこともなく、
日々をなんとなく過ごしていました。
そんな時、友人に誘われて卓球部の練習を見学に行った。
そこで、初めて見る卓球のスピード感、
そして先輩たちの真剣な眼差しに心を奪われた。
「なんか、面白そう…」
そう思った僕は、軽い気持ちで卓球部に入部することを決めた。
しかし、いざ始めてみると、
卓球は想像以上に奥が深く、なかなか上達しない。
基礎練習の繰り返し、フットワーク、多球練習...。
初めて握るラケットは手に馴染まず、
ボールは思うように飛ばない。
周りの部員たちは、軽々とラリーを続け、
鋭いスマッシュを放っていた。
その光景を目の当たりにするたび、僕は自分の不器用さを痛感した。
「なんで、こんなに上手くできないんだ...」
練習後、疲れ果てて帰宅する電車の中で、何度もそう呟いた。
そんな時、一人の先輩に出会った。
先輩は、かつて全国大会を目指していたものの、
高校に入り、怪我で夢を諦めた過去を持っていた。
それでも、先輩は卓球への情熱を失わず、
後輩たちの指導に力を注いでいました。
「さあ。やってみよう!」
先輩は僕に熱心に指導してくれた。
しかし、なかなか上達しない僕は
「俺には才能がないんだ...」そう思った。
自分だけが取り残されているような孤独感。
部室の隅で一人うずくまり、悔しさと情けなさで涙が溢れた。
「卓球を楽しもうよ!」
顔を上げると、笑顔の先輩がいた。
「一緒にやろう!」
その時、「もっと、早く上手くなりたい...」
そう思う僕がいた。
先輩は僕の弱点を徹底的に分析し、
克服するための練習メニューを作成してくれた。
フォームの修正、フットワークの改善、ボールの捉え方、
僕は卓球だけでなく、人間としての成長を実感した。
しかし、その喜びもつかの間、
僕は先輩が病に倒れたことを知った。
病院に駆けつけた僕に、先輩はこう言った。
「お前なら全国でも通用する。俺の分まで、夢を叶えてくれ」
先輩の言葉に、僕は涙した。
あの時の気持ちは今でもはっきり覚えている。
(今度は僕が先輩にチカラを与えるんだ!)
その想いを一心に無我夢中で取り組んだ。
「先輩、見ていてください。僕は、あなたの夢を叶えます」
「ゲーム、スタート!」
白い球が高く上がる。
僕はそれに想いの全てをぶち込んだ!