popoのブログ

超短編(ショートショート)

旅の出発

春の柔らかな日差しが、

古びた駅のホームに降り注いでいました。

 

少女は、大きなリュックサックを背負い、

少し緊張した面持ちで電車を待っている。

彼女の手には、使い込まれた一冊のノートと、

祖母から譲られた古い羅針盤がありました。

今日、少女は長い人生の旅に出るのです。

目的地は特に決まっていません。

ただ、心に響く何かを探して、

風の吹くままに歩いていこうと決めたのでした。

 

汽車のベルが鳴り、ゆっくりと列車がホームに入ってきた。

少女は深呼吸をして、少し大きすぎるリュックを

よいしょっと背負い直し、意を決して乗り込む。

窓際の席に座ると、景色がゆっくりと流れ始める。

見慣れた街並みが遠ざかり、新しい風景が目に飛び込んできた。

 

最初の停車駅で、少女は一人の老婦人と出会いました。

背筋がシャンと伸びたその婦人は、

編み物をしながら優しく微笑みかけました。

「どこへ行くの?」

尋ねられた少女は、

「まだ分からないんです。ただ、何かを探して旅をしています」と正直に答えた。

 

老婦人は、編んでいた鮮やかな色のマフラーを少女に手渡しました。

「これはね、私が編んだ『希望』という名のマフラーだよ。迷った時、道に迷いそうな時に、そっと包んでおくれ。きっと温かい風が吹いてくるから」

 

少女はその温かさに胸が熱くなる。

 

次の駅では、若い音楽家が乗り込んできました。

彼はギターを抱え、楽しそうに鼻歌を歌っています。

少女が話しかけると、彼は旅の途中で出会った人々に

即興の歌をプレゼントしているのだと言いました。

少女にも、旅の始まりを祝福するような、

優しく力強いメロディーを奏でてくれました。

 

日が暮れ始めた頃、少女は小さな村に降り立った。

夕焼け空の下、田んぼのあぜ道を歩いていると、

一人の農家の男性が声をかけてきました。

「おや、こんな時間に珍しいお客さんだね。よかったら、うちで夕飯でも食べていきなさい」

 

男性の温かい誘いに、少女は甘えることにした。

囲炉裏を囲んで食べる温かいご飯は、

心までじんわりと温めてくれました。

男性は、自分が育てた野菜のこと、村の昔話、

そして人生の喜びや苦しみについて、穏やかに語ってくれました。

 

少女は、旅の途中で見つけるものは、

壮大な景色や珍しい物ばかりではないのだと感じ始めた。

人々の優しさや、何気ない言葉の中にこそ、

大切な宝物のようなものが隠されているのかもしれない。

 

この後、少女はどんな出会いをし、

どんな経験をするでしょうか?

 

彼女の旅の途中で、

どんな大切なものを見つけるのでしょうね。