「はぁ、これがゴルフか…」
初めて足を踏み入れたゴルフ場の芝生は、
想像以上に鮮やかで、そしてどこまでも広かった。
都会の喧騒から離れたその場所は、まるで別世界のようだ。
30代半ばの主人公、ワタルは、取引先の社長に誘われ、
渋々ながらもゴルフを始めることになった。
正直、運動は苦手だし、ゴルフなんておじさんのやるものだと思っていた。
「ワタル君、まずは基本からだ。リラックスして、この景色を楽しんでごらん。」
社長の声に促され、ワタルは大きく息を吸い込んだ。
澄んだ空気には、微かに芝生の香りが混じっている。
試しに借りたクラブを握ってみると、
ずっしりとした重みが手のひらに伝わってきた。
初めてのティーショット。
目の前には、広大なフェアウェイがどこまでも続く。
教えてもらった通りに構え、ボールに集中する。
「よし、深呼吸して…」
心臓の音がドクドクと大きく響く。
意を決してクラブを振り抜いた。
しかし、ボールは情けない音を立てて、
わずか数メートル先を転がるだけだった。
「あちゃー!」
思わず頭を抱えるワタルに、社長はにこやかに言った。
「大丈夫、大丈夫。最初はみんなそんなもんだ。でも、その一振りに夢中になれるのがゴルフの面白いところだよ。」
その言葉に、ワタルは少しだけ救われた気がした。
それからも、ワタルのショットは
OBになったり、池ポチャしたりと散々だった。
しかし、不思議と嫌な気持ちにはならなかった。
むしろ、どうすればもっと上手く打てるのか、
どうすればボールが真っ直ぐ飛ぶのか、
そのことばかり考えていた。
そして、迎えたショートホール。
短い距離とはいえ、ピンは池のすぐ向こうに立っている。
「ワタル君、ここはチャンスだ。力を抜いて、イメージ通りに打つんだ。」
社長の言葉に、ワタルは再び集中した。
風の向き、芝の傾斜、そしてボールが描く放物線。
頭の中で完璧なショットを何度もシミュレーションする。
ゆっくりとバックスイングし、
そして、渾身の力を込めてクラブを振り抜いた。
カキーン!
乾いた打球音が、澄み切った空に響き渡った。
ボールは健太のイメージ通りに宙を舞い、美しい放物線を描いて…
見事にピンそばにピタリと止まったのだ!
「よっしゃー!」
思わず叫んでいた。
これまでの不甲斐ないショットが
嘘のように、完璧な一打だった。
その瞬間、全身に電流が走ったような感覚に襲われた。
鳥肌が立ち、アドレナリンが全身を駆け巡る。
社長が満面の笑みでワタルの肩を叩いた。
「見たか、ワタル君!これがゴルフの醍醐味だよ!」
その一打で、ワタルのゴルフに対する見方は180度変わった。
ただボールを打つだけのスポーツではない。
自然の中で五感を研ぎ澄まし、自分自身と向き合う。
そして、たまに出る奇跡のような一打が、
忘れられない感動を与えてくれる。
その日以来、ワタルはすっかりゴルフの魅力に取り憑かれた。
仕事の合間を縫って練習場に通い、
休日には積極的にゴルフ場へ足を運ぶようになった。
「次こそは、ベストスコアを出すぞ!」
ワタルは、次のラウンドに心を躍らせていた。
ゴルフは、彼の人生に
新たな刺激と喜びをもたらしてくれたのだ。
そして、ワタルは確信していた。
このゴルフというスポーツは、
きっと多くの人の人生を豊かにする力を持っている、と。
あなたも一度、この広大な緑の上で、
奇跡の一打を体験してみませんか?
「そうだ!ゴルフへ行こう!」