日曜日の朝、
マキはいつもよりゆっくりと目を覚ました。
隣では夫のユウサクがすでに起きていて、
静かに身支度を整えている気配がする。
休日の朝は、誰よりも早く起きて
家族の朝食を作るのがマキの日課だったが、
今日は少し様子が違った。
「マキ、おはよう。今日はゆっくりでいいからね」
ユウサクの声に、マキは小さく頷いた。
リビングからは、すでに味噌汁のいい香りが漂ってくる。
ユウサクが朝食を作ってくれているのだと気づき、
マキの胸に温かいものが広がった。
食卓には、ユウサクが腕を振るった朝食が並んでいた。
いつものマキの料理とは違う、
少し不格好ながらも愛情のこもった卵焼きと、
ふっくらと炊き上がったご飯、そして温かい味噌汁。
「美味しい…」
マキが呟くと、ユウサクは照れくさそうに笑った。
「今日一日は、マキは一切家事をしなくていいから。俺が全部やるから、好きなことして過ごしてくれ」
突然のユウサクの言葉に、マキは目を丸くした。
ユウサクは続けて言った。
「いつも本当にありがとう。マキが毎日頑張ってくれてるから、俺は安心して仕事に行けるし、子供たちも笑顔でいられる。感謝してもしきれないくらいだよ」
ユウサクの真剣な眼差しに、
マキの目にはうっすらと涙が滲んだ。
普段はなかなか口に出さない感謝の気持ちを、
ユウサクがこんなにもストレートに伝えてくれたことに、
マキは感動した。
その日、マキはユウサクの言葉に甘えることにした。
午後は、久しぶりに一人で街に出て、
気になっていたカフェで読書を楽しんだり、
ウィンドウショッピングをしたりした。
誰にも気兼ねなく、自分のためだけに時間を使う贅沢さに、
マキの心は軽くなるのを感じた。
夕方には、ユウサクと子供たちが作ったという、
少しいびつだけど温かい手作りクッキーがお土産として待っていた。
夜、子供たちが寝た後、
マキはユウサクに「ありがとう」と伝えた。
ユウサクはマキの手を優しく握り、
「これからも、たまにはこういう日を作ろうな」と言った。
マキはユウサクの優しさに包まれながら、
明日からまた頑張ろうと心に誓った。
そして、何よりもユウサクの感謝の気持ちが、
マキにとって最高のリフレッシュになったのだった。