息子と私は、毎年恒例の自動車レース大会を
見るために興奮しながら車を走らせていた。
私にとってそれは、ただの日曜日のレジャーだが、
息子にとっては、夢が生まれる場所なのだ。
「父さん、いつか僕もあのコースを走るんだ!」
と以前、息子は目を輝かせながら言った。
「優勝して、トロフィーを掲げるんだ。そしたら、父さんを世界一周旅行に連れて行ってあげるよ!」
私は息子の熱意に笑顔を見せた。
彼はまるで、もうすでにレーシングスーツを着て、
スタートラインに立っているかのように、
細部までレースの様子を語った。
エンジンの轟音、タイヤがアスファルトを掴む匂い、
そして観客席を埋め尽くす人々の地鳴りのような歓声。
彼の中では、すべてが鮮明に描かれているようだった。
今日、再びコースが近づくにつれて、
アドレナリンが湧き上がってくるのを感じた。
カラフルな車が信じられないようなスピードで
カーブを曲がり、見る者の目を奪う。
息子は身を乗り出し、食い入るようにレースを追った。
彼にとって、これは単なるエンターテイメントではない。
それは、彼自身の未来への道標なのだ。
私たちは席に着き、本番のレースが始まるのを待った。
私は息子の肩を抱き、彼がこの瞬間に抱いている
喜びと、未来への希望を感じ取った。
それは、彼がプロのレーサーになるかどうかは問題ではない。
大切なのは、彼が情熱を傾けられるものを見つけ、
それに向かって努力することだ。
彼の夢は、まだ始まったばかりだ。
そして、私は、その夢を追いかける彼を、
これからもずっと応援し続けるだろう。