蒸し暑い一日が終わり、日が暮れても
都会の熱気はなかなか引かない。
そんな夏の夜に、俺は自宅の小さな露天風呂へと向かう。
俺は会社までの通勤は1時間半かける。
理由は都会の喧騒から隔絶された、自分だけの空間だ。
自然に囲まれた家の庭に作った露天風呂。
「さあ。至福の時間の始まりだ。」
シャワーで汗を流し、いざ湯船へ。
熱すぎず、ぬるすぎず、夏の夜にぴったりの湯加減だ。
肌を撫でる湯の感触が心地よく、ふぅ、と思わず息が漏れる。
昼間の喧騒も、仕事の疲れも、この湯の中に溶けていくようだ。
目を閉じれば、
聞こえるのは微かに聞こえる虫の声と、
風に揺れる木々の葉擦れの音だけ。
日常、都会の真ん中にいることを忘れさせてくれる、
ささやかな自然の音色だ。
時折、空を見上げると、ぼんやりとした月の光。
俺の目の前には、それが湯面に揺れている。
星はあまり見えないけれど、それでも十分に美しい。
湯船の縁に頭をもたせかけ、大きく深呼吸をする。
肺いっぱいに、夏の夜の澄んだ空気が満たされる。
日中の暑さを忘れさせる、
ひんやりとした風が頬を撫でるのもまた気持ちがいい。
この瞬間だけは、何もかも忘れられる。
ただ、この開放感と一体感に身を任せるだけだ。
しばらくすると、体の芯からじんわりと温まってくる。
しかし、不思議と暑苦しさはなく、
むしろ体が軽くなったように感じる。
これが露天風呂の醍醐味だろう。
内風呂では味わえない、この開放的な感覚。
湯から上がり、涼み台に腰掛ける。
濡れた体に夜風が心地よく、
火照った体がゆっくりと冷えていく。
キンと冷えたビールを一口。
喉を通る冷たい液体が、
今日一日の締めくくりにふさわしい。
この露天風呂は、俺にとって夏の夜の最高の贅沢だ。
明日への活力を養い、心をリセットする大切な時間。
この小さな空間で、俺は心ゆくまで夏の夜を満喫する。