popoのブログ

超短編(ショートショート)

おへそのほくろ

私は、小さい頃からおへそにある

小さなほくろがずっとコンプレックスだった。

 

友達と海やプールに行く時も、

可愛らしい水着を着てはしゃぐ周りの子たちを横目に、

私はいつも、自分のおへそのほくろが目立たないようにと、

少し大きめのTシャツを着たり、タオルで隠したりしていた。

 

「なんで私のおへそにだけ、こんなものがあるんだろう…」

 

鏡を見るたびに、そのほくろが目に入り、ため息をつく日々。

いつしか私にとって、おへそは「隠したい場所」になっていた。

 

そんな私に転機が訪れたのは、

友人から勧められたとあるボディケアのワークショップだった。

そこでは、自分の身体を慈しみ、

丁寧にケアすることの大切さが語られた。

最初は半信半疑だった私。

試しに毎日、お風呂上がりにボディクリームを塗るついでに、

おへそ周りも優しくマッサージするようにした。

 

最初はただの習慣として続けていたが、

数週間、数ヶ月と経つうちに、私はあることに気づいた。

 

それは、おへその周りの肌が以前よりもなめらかになり、

触れるたびに心地よさを感じるようになったことだった。

 

そして、これまで「隠したいもの」としてしか見ていなかったほくろが、

ふと、まるで小さな点のようにも見えたり、

時には星のようにも見えたりと、

見え方が少しずつ変わっていったのだ。

 

「これも私の一部なんだ」

 

ある日、いつものようにケアをしていると、

私はふと、ほくろをじっと見つめた。

すると、これまで感じていた「嫌だ」という感情ではなく、

不思議な温かい気持ちが湧き上がってきたのだ。

 

このほくろがあるからこそ、おへそに意識を向け、

毎日丁寧にケアをするようになった。

このほくろがあるからこそ、

自分の身体と向き合う時間を持つことができた。

 

そう考えると、今までコンプレックスだったほくろが、

まるで自分だけの個性のように感じられるようになった。

 

それからの私は、もうおへそのほくろを隠すことはなかった。

むしろ、夏にはおへそが見えるような可愛いトップスを選んだり、

友人に「私のチャームポイントなの」と笑顔で話したりするようになった。

 

友人たちも最初は少し驚いていたが、

私が自信を持って話す姿を見て、

「言われてみれば、らしいね」

「なんか、おしゃれだね!」と、

好意的な反応を返してくれた。

 

今では、私にとっておへそのほくろは、

単なる体の一部ではない。

それは、自分自身を受け入れ、

愛することのできた証であり、

唯一無二の自慢の私のチャームポイント。