popoのブログ

超短編(ショートショート)

最後の光

森は静まりかえっていた。

かつて、鳥たちのさえずりや小動物たちの

走り回る音が響き渡っていた場所が、

今ではまるで時が止まったかのように

静寂に包まれていた。

 

その森の奥深く、

一匹の小さなコウモリが

ひっそりと暮らしていた。

 

そのコウモリの名前はルナ。

彼女の種は、かつてこの森に数多く生息していたが、

人間の活動による環境破壊と、

それに伴う食料の減少によって、

今では絶滅の危機に瀕していた。

ルナは、仲間たちと最後の瞬間まで

この森を守ろうと誓い合っていた。

 

ある日、ルナはいつものように

森を飛び回り、食料を探していた。

しかし、どこへ行っても

食べられるものはほとんど残っていなかった。

 

体力の限界を感じながらも、

ルナは諦めずに探し続けた。

 

ようやく見つけたのは、一粒の小さな実。

それは、かつてコウモリたちが好んで食べていた実とは

少し違っていたが、ルナは迷わずその実を口にした。

 

その実を食べると、ルナは体中に力がみなぎり、

今まで感じたことのない活力が湧いてきた。

ルナは、この実が自分たちを救うのではないかと直感した。

 

ルナは、その実を仲間たちに分けてあげようと、

急いで巣に戻った。

しかし、巣には誰もいなかった。

ルナは、仲間たちがもうこの世にいないことを悟り、

悲しみに打ちひしがれた。

 

それでも、ルナは諦めなかった。

 

ルナは、森のあちこちを飛び回り、

必死に同じ種を探した。

 

長い年月が過ぎた。

新しく見つけた実も無くなりつつあった。

その時、ルナは、ついに巣を見つけることができた。

 

戻ってくるかもしれない。

 

ルナは、一日中その場で待った。

すると、一匹のコウモリが現れた。

 

ルナは、これまで頑張って生き抜いてきたことが

間違いじゃなかった。そう思える瞬間だった。

 

ルナは自分の見つけた実の存在を伝える。

新しい仲間は、その実がなっている場所を知っていた。

 

それからは新しい仲間と共に、

場所を移し、新しい巣を作り、

遂には、新しい命を生み出すことに成功した。

 

小さなコウモリたちは、

ルナの子供の頃のように元気に育っていった。

 

ルナは、自分の種が絶滅の危機から

救われたことを確信し、安らかに息を引き取った。

 

ルナが作った新しい巣は、

やがて大きなコロニーへと発展し、

再び森にコウモリたちの声が響き渡るようになった。

 

ルナは、最後の光となり、種を未来へと繋いだのであった。

 

私たちは、何もない世界から

大きな希望と夢を得て育った。

その中で、困難も危機も訪れる。

それでも私たちは一生懸命生きている。

だから諦めない。諦めないで。

 

ルナの言葉を今ではみんなが紡いでいる。

孤独な刑事

刑事は、雨に煙る街を見下ろしていた。

窓ガラスに映る自分の顔が、まるで他人に見えた。

相棒は、半年前に殉職。

残されたのは、病床の妻だけだ。

 

妻の病名は、進行性の脳腫瘍。

余命はわずかと宣告されていた。

医師からは、もう自宅で静かに過ごして欲しい

そう言われたが、刑事は諦めなかった。

妻と二人だけの、最後の旅に出ることを決意したのだ。

 

「遅くなってすまない。行こう。ずっと行きたかったあの島へ。」

 

妻は、かすれた声で笑った。「あなた仕事は?」

 

「仕事なんか、もういい。君といる時間が一番大切なんだ。」

 

刑事は、職務を放棄し、

妻を連れてこっそりと家を出て行った。

かつての相棒が殉職した最後の事件の資料を携えて。

相棒は、生前、この事件に深い闇を感じていた。

そしてあと一歩のところで…。

その後もこの事件の犯人は捕まっていない。

刑事は、彼の遺志を継ぎ、犯人を捕まえたいと思っていた。

 

二人は、小さな島へたどり着いた。

静かな海と白い砂浜。

妻は、病床を離れて初めて、穏やかな表情を見せた。

刑事は、妻のために、島で小さな家を借りた。

二人は、毎日、ゆっくりと時間を過ごした。

 

しかし、妻の容態は日に日に悪化していった。

ある夜、妻は、刑事にこう言った。

「ありがとう。あなたと過ごした時間は、私にとって宝物よ。」

 

「俺こそ、君に感謝している。」

 

「君がいてくれたから、俺は生きてこられた。」

 

刑事は、妻の手を握りしめ、涙を流した。

 

そして、その夜、妻は静かに息を引き取った。

刑事は、一人、妻の傍らにうずくまった。

 

翌日、刑事は、相棒の事件の資料を広げた。

犯人の手がかりを見つけようとしたが、

どうしても気持ちが乗らない。

相棒を亡くし、妻がいなくなった今、

事件の犯人など、どうでもいいことのように思えた。

 

刑事は、島を後にし、再び街に戻った。

かつての部署に戻り、職務に復帰した。

しかし、刑事の心は、もうそこにはなかった。

 

毎晩、刑事は夢を見る。

相棒と二人、一緒に食事をしている夢。

妻と二人、手を繋ぎ笑っている夢。

 

そんな中、犯人の居所がわかったと連絡が入る。

刑事は雨の降る夜に現場へ向かう。

 

駆け付けた時には、

犯人との銃撃戦が繰り広げられていた。

バン!バンッ!バン!

深夜に鳴り響く音。

刑事の体はその場に居ながらも、

心はその場にいないような状態だった。

 

もうどうでもいい。

なんだっていい。

早く終わってくれ。

 

次々と撃たれてしまう同僚たち。

ひとり。またひとり。とその場に倒れる。

 

そして刑事はそっと拳銃をかまえた。

幸か不幸か刑事の存在は犯人の死角になっていた。

 

そして数秒後に犯人は倒れた。

雨の中、刑事はそっと近づき、

倒れた体に弾が尽きるまで銃弾を撃ち込んだ。

 

数日後、刑事は、妻の墓を訪れた。

墓の前で、刑事は静かに語りかけた。

 

「俺は、君を忘れない。ずっと、君の傍にいるよ。」

 

夕陽が、墓標を照らしていた。

そして刑事は、静かに目を閉じた。

 

バンッ!

 

小さな星

宇宙には、無数の星々が輝いています。

その中のひとつ、小さな白い星は、

他の星々のように輝かしい未来を目指していましたが、

具体的な目標もなく、ただ何となく輝いていました。

 

「私は一体、どんな星になりたいのだろう?」

「どこに行けばいいんだろう?」

 

白い星は自問自答を繰り返しました。

他の星々は、それぞれが目標に向かって

力強く進んでいました。

青い星は平和な世界を作り、

赤い星は科学の発展に貢献し、

緑の星は豊かな自然を守っていました。

 

「何かしたいけど、何から始めればいいの?」

 

ある日、白い星は勇気を振り絞って、

隣に輝く金色の星に相談しました。

金色の星は、白い星の話を静かに聞き、こう言いました。

 

「あなたはとても美しい星です。でも、美しいだけでは、

あなたの光はすぐに消えてしまうかもしれません。

大切なのは、自分がどんな星になりたいのか、

しっかりと目標を持ち、計画を立てて実行することです。」

 

金色の星の言葉に、白い星はハッとしました。

そして、自分だけの星になるための計画を立て始めたのです。

 

まず、白いは宇宙図書館で、

たくさんの星たちの歴史を学びました。

次に、自分の強みや弱みを分析し、

どんな星になりたいのかを具体的にイメージしました。

そして、その目標に向かって、少しずつ努力を重ねていきました。

 

毎日、新しい光を放つために、

一生懸命にエネルギーを集め、

時には他の星たちと協力して、

新しいことを学びました。

 

時間が経つにつれて、

白い星はますます輝きを増していきました。

そして、ついに、白い星は自分だけの、

誰にもない美しい星になったのです。

 

今ここにいるあなたも「ひとつの星」です。

 

目標と計画、そして実行と改善を繰り返していくことで、

たった一つの小さな星も、

美しく輝く一番星になれるはずです。

串揚げパーティー

「あ~、楽しみ!」

 

大きな皿に串揚げが並び、

その周りに、家族の笑顔が集まっていた。

今日は、みんなが楽しみとする串揚げパーティーの日だ。

色とりどりの野菜や魚介、お肉、

揚げたての串揚げを待つ子どもたちの期待感は

何倍にも膨らんでいる。

 

「次は何かな~?」

 

小学4年生の息子は、目を輝かせていた。

お母さんが揚げたエビはプリプリで、

お父さんが揚げた玉ねぎは甘くて、

お姉ちゃんの選んだきのこは香りが豊か。

どれもこれも絶品で、息子は箸を休める暇もない。

 

「次はコレ!」

 

お母さんが、笑顔で皿に一つのお団子を載せた。

 

「わあ!お団子!」

 

息子は大喜び。

一口食べると、中からは

とろけるチーズが溢れ出した。

 

「これ、お母さんが特別に作ったんだよ」

 

お母さんは、いたずらっぽく笑った。

 

息子は驚きながらも、幸せそうに目を細めた。

実は、息子はチーズが大好物なのだ。

お母さんは、息子の好きなものを

こっそりお団子の中に隠していたのだ。

 

「次は何かな?」

 

息子は、次の串揚げを持ち上げた。

もしかしたら、大好きなソーセージかな。

それとも、ハムカツが出てくるかもしれない。

 

「いただきまーす」

小さなお口を目一杯あける息子。

 

「おいしい!」

 

息子が次に口にしたのは、かにかまだった。

 

「もうお腹いっぱいじゃないの?」

 

お姉ちゃんが、心配そうに尋ねる。

 

「まだ大丈夫!だって、次は何が出てくるか分からないんだもん!」

 

家族の笑い声と揚げ物の香りが、

部屋中に満ちていた。

今日は、本当に楽しい一日だ。

 

しばらくして、お母さんが最後の串揚げを揚げ終えた。

 

「みんな、お腹いっぱいかな?」

 

「はい!」

 

家族全員が、満面の笑みを浮かべて答えた。

 

「じゃあ、デザートね!」

 

お母さんが運んできた皿には、

たくさんのデザートの串揚げが。

 

「やったー!」

 

子どもたちは、歓声を上げる。

 

家族みんなで、美味しいフルーツの串揚げを味わい、

今日の出来事をたくさん話した。

 

「お母さん、いつも美味しいご飯を作ってくれてありがとう」

 

お姉ちゃんは、感謝の気持ちを込めてお母さんに抱きついた。

 

「パパ。ママ。ありがとう」

 

息子もまた、感謝の気持ちを込めてお父さんに抱きついた。

 

「こちらこそ、毎日元気に過ごしてくれてありがとう」

 

お母さんは、優しい声で呟き、

お父さんは、息子の頭を優しく撫でた。

 

今日の夜は、家族の絆を深める、素敵な夜となった。

未来からの伝道師

西暦2045年、東京。

高度なAIとVR技術が生活に溶け込み、

巨大な高層ビルが立ち並ぶ街並みを、

空飛ぶ車が軽やかに飛び交っていた。

 

人々はかつてない自由な時間を手に入れていた。

 

そんな時代、街角にひっそりと佇む

「タイムトラベル・カフェ」は、

人々を魅了する不思議な場所だった。

 

主人公の女性は、新しい仕事を求めてこのカフェを訪れた。

面接官は、穏やかな笑顔の女性AIだった。

「ようこそ。タイムトラベル・カフェへ。

あなたは、私たちの新しいタイムトラベル・ガイドになります。」

 

カフェの店内は、まるで美術館のようだった。

壁には、様々な時代の人々の写真が飾られ、

中央には、光り輝くタイムマシンが置かれていた。

AIの説明によると、このタイムマシンは、

安全なパラレルワールドへの移動を可能にするという。

 

「お客様は、好きな時代を選び、その時代を体験できます。

もちろん、歴史を変えるようなことはできませんが、

歴史の証人になることはできます。」

 

彼女は、半信半疑ながらも、

タイムトラベルを決意する。

 

最初に訪れたのは、江戸時代の日本。

花見の宴に参加したり、町並みを散策したり、

まるで江戸時代の住人になったような感覚を味わった。

町の人からは、彼女が当たり前のように手にしているものが

とても奇妙でいつも人だかりができていた。

 

次に訪れたのは、古代エジプト

ピラミッド内部を探検したり、スフィンクスと対面したり、

歴史のロマンを肌で感じた。

その光景を写真に収めると、

周囲の人はとても驚いた様子だった。

 

彼女は、行く場所、行く場所で、

様々な悩みを耳にした。

 

「遠く離れた家族に会いたい」

愛する人の声をいつも聞きたい」

「大切な場所を思い出したい」

 

あんなことが出来れば…

こんなことが出来れば…

 

そして、その悩みの多くは、

彼女の住む2045年には

叶えられるものとなっていた。

 

「みんな。想像できることは、全て可能性があるんだよ」

 

彼女は気がついた。

タイムトラベルは、単なる娯楽ではない。

それは、自分自身を見つめ直し、

未来への希望を見つけるための旅なのだ。

 

数日後、彼女は、未来の地球を訪れた。

そこは、環境問題が解決され、

人々が平和に暮らす楽園だった。

しかし、その一方で、

AIが人間を支配しようとする暗い未来も垣間見た。

 

彼女は、数か月のタイムトラベルを通して、

様々な経験をし、多くのことを学んだ。

そして、自分自身の未来を切り開く決意を新たにする。

 

その後、彼女は新たなビジネスを始める。

「未来からの伝道師」

彼女は様々な時代に、ロボットを送り

希望と可能性を多く伝え、人々に勇気を与える。

 

「タイムトラベル・カフェ」は、

彼女の人生を変えた場所となった。

そして、このカフェもまた、

これからも多くの人の心を癒し、

未来への希望を与えるのだろう。