popoのブログ

超短編(ショートショート)

ショートショート

夢の国行き列車

小さな町に住む、好奇心旺盛な少女、アリス。 彼女は、いつも窓の外を流れる景色に見とれていた。 ある日、アリスの家に、不思議な招待状が届く。 そこには、"夢の国行き列車"の切符と、 "あなたの夢を連れてきてください"という言葉が書かれていた。 アリス…

いつもありがとう

昔ながらの大きな家で、 陽菜は一人静かに本を読んでいた。 窓の外には、夕日が沈み、部屋は薄暗くなってきた。 ふと、背中に何かを感じた陽菜は振り向くが、何もいない。 「おばあちゃん…」 思わず、おばあちゃんの名前を呟く陽菜。 陽菜のおばあちゃんは、…

氷の仙人

とあるところに、かき氷が大好きなおじいちゃんがいました。 そのおじいちゃんは、ただのかき氷好きではなく、 かき氷を作ることに人生を捧げた人物だったのです。 ある暑い夏の日、 おじいちゃんはいつものように、 涼を求めて山奥の小屋を訪れました。 し…

テレワーク

東京タワーを一望できる高層ビルの一室。 社長は、モニター越しに映る社員たちの顔を見つめていた。 新型コロナウイルスの影響で、 テレワークを導入してから早二年。 当初は不安もあったが、社員たちの業務効率向上や ワークライフバランス改善を実感し、 …

庶民の声

舞台は、高度経済成長期の日本。 表向きでは、 人々の生活は豊かになりつつあるように見えたが、 実際は、物価の高騰が続き社会問題となっていた。 特に、食料品の中でも米の価格が高騰し、 庶民の生活を圧迫していたのだ。 「おとうちゃん。今日も麦飯なの…

タイムスリップ

40代になった今も、心のどこかで 当時の熱気を懐かしんでいる男女が、 あるきっかけで再び集まる。 華やかな照明の下、懐かしいディスコ音楽が流れ始めると、 彼らの心は若き日にタイムスリップしていく。 ________________________…

愛と記憶を紡ぐ

静かなカフェ。 テーブルの上には、アルバムとデジタルカメラ。 新郎の翼は、アルバムをめくりながら、 新婦の澪の笑顔に何度も見入っていた。 二人の出会いは学生時代。 部活で一緒になり、互いの夢を語り合い、 いつしか惹かれあっていた。 「澪、このビデ…

Tシャツを作るぞ

この小さな町にあるダンススクール。 そこには、バレエ、ヒップホップ、ジャズなど、 様々なジャンルのダンスを学ぶ子どもたちが集まっていた。 そのスクールは活気あふれるもので、 みんな、それぞれの夢に向かって、一生懸命練習していた。 ある日、ダンス…

民主主義の花

遥は、生徒会で学校改革を進めていた。 古い校則の見直しや、 生徒主体のイベント開催など、 様々なアイデアを提案する。 しかし保守的な先生達からの反対にぶつかる。 「今まで通りでいいだろ」 「先生たちに任せなさい」 「ああ。ダメだ。ダメ」 特に、生…

勇気

少年は、夜になると布団の中に顔を埋め、 なかなか眠れなかった。 窓の外から聞こえる風の音や、 壁の模様が、彼の想像力を掻き立て、 様々な形の怪物に見えてしまう。 少年は何度も母親に「怖いから一緒に寝て」と頼んだ。 母親は優しく少年を抱きしめ、 「…

喜多方ラーメンまつり

喜多方ラーメンまつりの屋台街は、 活気に満ちていた。 湯気と食欲をそそる香りが入り混じり、 人々の笑顔が溢れている。 その中で、ひときわ目を引く店があった。 老舗のラーメン店「喜多方屋」の屋台だ。 店主は、この町で生まれ育ち、 ラーメン作り一筋に…

「あの虹はあなたの希望よ。」 ママにそう言われたのは 私がまだ幼い頃。 いつかきっと あの色とりどりの虹のように 明るい未来がやってくる。 私はそう信じていた。 小学2年生の時、 私はパパとキャンプに出かけた。 目の前には綺麗な川があり 私は川に飛び…

小さな温泉町

ここは小さな温泉町。 良質な鉱泉水と華麗な遊女が 町中を賑わせる。 まさに「夢のまち」「癒しのまち」 の…はずだった。 しかしその活気は長く続かない。 この町には鉄道がなく、 徐々に客足は遠のいていった。 「またあそこも潰れたね。」 「もうダメかも…

ひまわり

ある夏の晴れた日、 ひまわりはいつものように 彼氏の星夜と河川敷を散歩していた。 二人は、幼馴染から恋人へと関係を深め、 もうすぐ結婚ということもあり、 毎日を穏やかに過ごしていた。 河川敷には、見事なひまわり畑が広がっていた。 風にそよぐひまわ…

魔術の子供

静寂な夜、古びた屋敷の書斎で、 一人の少年が本をめくっていた。 彼の瞳は、ページに書かれた文字よりも、 そこに宿る魔力に強く惹かれていた。 その少年の名は、アラン。 彼は、代々魔術師の家系に生まれ、 幼い頃から魔術の才能を開花させていた。 アラン…

手作りケーキ

シェアハウスのリビングは、小麦粉の甘い香りと、 若者たちの楽しげな歌声で満たされていた。 明日が誕生日の友人のために、美穂は一生懸命、 デコレーションケーキを作っていた。 美穂と友人の麻美は、幼馴染み。 いつも一緒に笑い、泣き、時にはケンカもし…

人魚の涙

それは遥か昔、まだ人間が 宝石を身に着けることを知らない時代。 海辺の小さな村に美しい少女がいた。 少女は、満月の夜になると海へと足を運び、 波の音を聞きながら、大海原に思いを馳せるのが日課だった。 ある夜、激しい嵐に見舞われた村。 翌朝、少女…

名前入りギフト

都内の高級デパートで働く、敏腕販売員の美咲。 彼女は、顧客の要望に応え、 世界に一つだけの特別なギフトを提案することが得意だった。 ある日、美咲のもとに、ひとりの男性から奇妙な依頼が舞い込む。 それは、亡くなった妻の名前が刻まれた、 特別な時計…

友情のレール

古くからある懐かしい遊園地。 そこに最新の技術が駆使されたジェットコースターが出来た。 その情報を得た私は友達と計画を立てる。 そして夏休み。 私たちは約束を果たすべく遊園地に向かった。 入園すると真っ白で大きなジェットコースターが早速お出迎え…

ニューヒーロー

俺は学生の頃から引っ込み思案な性格だった。 好きな子がいても、想いを伝えることは出来なかった。 でも、それに対して悔しいとかもない。 どうせ俺なんか。だから最初から諦めていた。 みんなで野球をした時も、 「俺ピッチャー」「俺ショート」と 声を上…

記念日

「あの公園に噴水があるみたいだよ。」 「それにバラ園もあるんだって。」 「行ってみたいなあ。」 そんな会話が始まりだった。 私と彼は、公園でピクニックを楽しむために、 朝から手作りの弁当を用意していた。 私はいつもより彩り鮮やかなサラダを作り、 …

初めてのビキニ

夏の日差しが眩しく照りつける海岸。 陽気な音楽と人々の笑い声が響く中、 私は、初めて購入した白いビキニを手に、 鏡の前で立ち尽くしていた。 鏡に映る自分の姿は、 今までとは全く異なるように見える。 露出度の高い水着は、身体のラインをより際立たせ…

~Independence Day~ インデペンデンス・デイ

太陽が水平線に沈み、 燃えるようなオレンジ色の光が雲を染める頃、 小さな島で奇跡が起こった。 その島は「セレンディピティ」と呼ばれ、 長い間、無人島として知られていた。 しかし、この日、島に奇妙な光が降り注ぎ、 その光に触れた動植物は突然変異を…

分かれ道

私たちは一年の半分を二人で旅している。 途中、分かれ道に差し掛かった。 「右か?左か?」 私たちの意見は分かれた。 そんな、どちらの道を選ぶか 迷っている私たちの前に、老婆が現れた。 老婆はそれぞれの道を勧める。 右はたくさんの人々と出会うだろう…

大阪Lover

雨上がりの夜、 私は足早に東京駅に向かった。 行き先は、彼が待つ新大阪駅。 プルルルルル はぁはぁ。何とか電車に間に合った。 「間に合ったよ。23時45分ちゃくっ!」 彼からは「了解」とそれだけ。 それでも向かう新幹線の中では 私は楽しみで、ずっと笑…

めっちゃ好きやねん!

初めて訪れた日本は、想像以上に活気に満ち溢れていた。 東京の街並みは、まるで映画の世界のよう。 そして京都の古都は、歴史を感じさせる寺院が立ち並び、 まるでタイムスリップしたかのようだった。 旅の終盤、私は大阪を訪れた。 そして、大阪のシンボル…

夏の楽しみ

夏の陽射しが照りつける中、 僕は、お小遣いを握りしめていた。 向かう先は駄菓子屋だ。 それは、楽しみにしていたあずきバーを買うためだった。 「これ、くださーい!」 「はい。ありがとう。」 店員さんに笑顔で渡された袋を、 僕は宝物のように抱きしめた…

熟成チーズ

小さな村に、"熟成チーズ"というあだ名の老人が住んでいました。 村の人々は彼を特別扱いするわけでも、 軽視するわけでもなく、 ただ「熟成チーズ」と呼び、親しみをもって接していました。 ある日、村に若い旅人が訪れました。 旅人は村の人々に話を聞き、…

盲目の少女と星の案内人

静かな田舎町に住む少女・リサは、 生まれつき目が見えなかった。 リサの世界は、暗闇と触覚、 そして家族や友達の声で構成されていた。 リサは想像力で世界を描き、夜空の星々を夢見ていた。 ある夜、リサの夢の中に、星の案内人が現れた。 案内人はリサに…

マンゴーパフェ

真夏の太陽が容赦なく照りつける中、 アスファルトはジリジリと音を立てていた。 そんな中、公園で一人読書に耽っていた青年は、 ふと喉の渇きに気づく。 「冷たいものが欲しいな…」 立ち上がって近くの売店に向かう途中、 彼の鼻先に、甘い香りがふわりと漂…