popoのブログ

超短編(ショートショート)

短編

対応

「あの〜。すみません。」 「どうされました?」 「こちらで買った携帯ね。スマホっていうのかしら。 昨日から何だか調子悪いみたいなの。」 「見せてもらっていいですか?」 「はい。お願いします。」 「あー。これは故障ですね。」 「あら。そうなの。困っ…

送別会

今日は仲間たちからの送別会。 10年も共にした仲間たち。 「俺たちと一緒にやろうぜ」 この誘いが俺の人生を大きく変えた。 特に秀でた才能は俺にはない。 だから俺は、周囲の行動や思考に注意した。 皆が何をしたいのか。 皆が何を望んでいるのか。 一緒の…

街を歩く

外国の文化が流入してきたこの街。 外国人居留地には洋風の商館や住居が建ち並ぶ。 かつてから、この街は外国との交流に栄えた。 そして出来た、定食屋、中華街、ジャズ喫茶。 今日も俺はそんな海岸沿いを歩く。 しばらくすると、港に停泊している一隻の船が…

苦手な季節

「ずっと忘れない 離れてもくじけない 生きていく 今日から」 街を歩いていると、どこからか聞こえてきた。 あれは今から25年位前だっただろうか。 当時、高校生だった俺は青春真っただ中だった。 彼女に会うため、駅に行く。 駅に着くと、小刻みに震えなが…

アルバム

長らく片づけられていなかった部屋で、 押し入れの奥にしまい込まれていた古びたアルバムを見つけた。 表紙は年代物のレトロなデザイン。 アルバムを開くと、黄ばんだページから笑顔溢れる昔の写真。 幼いころの自分や家族。 遠出した旅行や特別なイベント。…

再生

「お願いです!助けてください!」 そう叫んで俺の前に飛び出してきた女性は キズだらけだった。 「どうしたんですか?」 「助けて!襲われて!」 女性は俺の顔を見ると泣き出した。 服は破れ、脚や口からは血が見えた。 それでも女性は美しかった。 「行き…

消えない痛み

天才・ファンタジスタ・レジェンド・魔術師 俺は様々な呼び名でみんなに愛された。 俺は今から40年と少し前に、大家族に生まれた。 そして、母子家庭だった。 その為か、家は普通とは決して呼べない程の暮らしだった。 拾ってきたボロボロのボールを投げたり…

奴隷

その日は、極めて静かな朝だった。 僕は起き上がり部屋を見渡した。 いつもいるはずの両親はいなかった。 ガチャッ。 入り口の扉が開く。 「やめて!パパ!ママ!」 そう叫んだことだけ覚えている。 僕は手を縛られ、布を被せられ、担がれていた。 しばらく…

老いらくの恋

小さな町に住むとしぞう。 彼は妻に先立たれ子供にも恵まれず ひそやかに暮らしていた。 ピンポーン 玄関のチャイムが鳴り、ゆっくりと向かう。 「はいはい。どなた?」 「隣に越してきたものです。」 ガラガラ 「ほう。」 彼女をみた彼の第一声だった。 「…

届け!ぼくの想い

ぼくはTVで現実を知った。 ぼくが生活しているこの町が どこにでもあるのだと思っていた。 でもTVに映っていたのは はだしで歩く人たち。 赤ちゃんを抱えるまだ大人じゃない人。 ボロボロの服を着たぼくと同じくらいの子。 ぼくの町にあるような建物はなかっ…

感謝をもって。

物語は、一匹の特別な豚が主人公。 この豚は他の豚たちと同じように生まれたが、 大きな違いがあった。 この豚は非常に賢く、人間の言葉を理解し、 感情を抱くことができる特別な存在だった。 彼は生まれた瞬間から、他の豚たちと同じように放牧され、育てら…

いくぞ!

「この地はまだ続く!前進せよ!」 俺たちはここ新大陸で先を目指した。 野を越え、山を越え、俺たちは進み続けた。 「隊長!何か村が見えてきました!」 「よし。行くぞ。歩を止めるな!」 俺たちは互いに鼓舞し、飢えをしのいで歩いた。 村に着くと裸の部…

死の商人

少しの衝撃で爆発する液体。 しかしそれは持ち運ぶ振動で暴発したり 爆発に至らないこともある不安定な爆薬。 「これでは却って危険だ。」 「それにしてもすごい威力だ。」 「もっと安定して確実なものに出来れば。」 彼はそれから研究を重ねた。 紙、木炭、…

小さな天使

忙しい日々。日常のストレス。 私たち夫婦は知らずに会話が減っていた。 本当は、今日はこんなことがあったよって 話したいのに。 本当は、次の休み何するって相談したいのに。 話すことすら面倒くさくなっていた。 私は家事と育児。 主人は仕事の残業と飲み…

営業マン

おはようございます 始業と共に慌ただしくなる社内。 最近ではオンラインでの打ち合わせが増えてきた。 うちの会社では、ほとんどの社員が外出することはない。 そんな中、俺はいつものように外出する。 「おはようございます。」 「おお!おはよう。」 「今…

落ち着く場所

ああ〜。うふぅぅ。 俺はゆっくりとサウナに腰を下ろした。 冷えた体が温まっていく。 腰に巻いた黄色いタオル。 腕に通したゴムのカギ。 そして流れるテレビの声。 この感じが現実の疲れを癒してくれる。 初めて来てから30年以上経ったのかあ。 昔はここも…

存在

私は、とある一国の女王である。 各地で争いが起こったのは遙かに昔。 土地と資源を求めて争いは始まった。 見たことのない肌の色。 聞いたことのない言葉。 同じ人間と思えぬ者たちがやってきた。 まず話し合い。ではなかった。 いきなり攻撃に出てきた。 …

HOTEL

長い年月を重ねた老夫婦。 二人は結婚50周年を迎え、 この特別な日をホテルで祝おうと決めた。 ホテルは二人のために特別な部屋を用意し、 彼らの到着を温かく迎えた。 夫妻はホテルの中庭に広がる美しい庭園へ。 二人で迎えた1年目の結婚記念日は この庭園…

ぼくの調査

「ぼくのお父さんは土木作業員です。」 この町に住む良太。彼の父親は現場で働いている。 朝は早く、良太の目覚ましは 父親の玄関の扉が閉まる音。 泥まみれの服で帰ってくる父は汗くさい。 ある日、良太は学校の授業で町の歴史を調べることになった。 町の…

プロポーズ

付き合い始めて2年と少し。 (今日こそは) 俺は勇気をもって今日という日を迎えた。 待ち合わせから、その時まで。 レストランの予約はバッチリ。 指輪は事前に準備をし、花束も用意した。 タイミングは何度もシュミレーションした。 朝からデートを楽しみ…

贈り物

ある普通の街に暮らす兄と私。 兄はいつも帰りが遅く、私が先に帰宅する。 (なにこれ?)玄関先に荷物が置いてあった。 (またお兄ちゃん何か買ったんだ。) 兄は最近ネットショッピングにハマっている。 週に一度は何かが届く。 今日から一週間、兄は出張…

お母さんのうた

僕は昔イジメられたことがある。 理由はほかの人より少しおでこが広かったこと。 「ハゲ」「でこっぱち」「フランケン」 たくさんの呼び名があった。 それでもお母さんやお父さんの前では普通にしていた。 きっとイジメられてるって知ったら悲しむから。 そ…

感謝と祈りの記念日

可愛らしい着物を着て、おめかしをした女の子。 初めての神社参りにわくわく。 神社の境内では、写真撮影のために多くの家族が集まっており、 その中にはカメラを向けられると照れくさい笑顔を見せる子供たち。 この女の子もその一人で、カメラを向けられる…

自由の花

物語の舞台は、1970年代。 主人公は、伝統的な役割に縛られることに疑問を抱き、 自らの夢と自由を求める若い女性であるエマ。 エマは小さな町で育ち、結婚し、家庭に入り込むことが期待されていた。 しかし、エマは他にも追求すべき夢があると感じ、 地元の…

作品

本田修一。彼は小さな町に住む芸術家。 修一は生涯を通じて、一つの目標を追い求めていた。 「心に残る作品を通じて人々に感動を与えること」 ある日、修一のもとに雄太という少年が修行に来た。 悠太は漆塗りの世界に非常に興味を持っていた。 修一は、伝統…

トイレという同じ場所

「はあぁ。間に合った。」 俺は急いで公衆のトイレに駆け込んだ。 落ち着いたところで周りを見渡す。 (おいおい。ここ掃除してんのかよ。) 小さな虫がしんでいたり、たばこを吸った形跡。 落書きまでしてある。意味不明な電話番号。 おいおい・・・。はあ…

ベンチ

駅前のベンチ みんなからしたら普通の場所も 私にとっては大切な場所。 それは私がまだ高校生の 少し風が冷たくなった頃だった。 「お!水嶋じゃん。」 「あ。武田くん。」 「こんなとこ座って何してるの?」 「別に何も。」 その日はひとりになりたい気分だ…

カンカン。カチカチ。

「カンカンカンカン・・・ 焼肉焼いても家焼くな♪」 幼い頃この歌ブラウン管から流れると 俺は心が踊っていた。 “拍子木“というものを今の若者は知っているだろうか。 俺は子どもの頃、町内の人たちと夜廻をしていた。 この時間がとても楽しかった。 俺たち…

ショコラトル

西アフリカにある小さな村。 ここに夫婦で営む小さな店がある。 看板などはない。 ただみんなはこの店を「ショコラトル」と呼ぶ。 14世紀に成立したアステカ王国での名称だ。 赤道から近く、熱帯地域、乾季は乾燥していて暑い こう思われるこの地域だが、寒…

新しい日々

私は田舎で育ち、勉強の毎日だった。 それは決して嫌々でなく、勉強することが楽しかった。 大学で私は上京した。 初めて目にする光景がそこにはあった。 上京してからも私は勉強に没頭した。 新しい知識が入ってくることが楽しかった。 そんな私には恋愛な…