popoのブログ

超短編(ショートショート)

短編

永久欠番

「永久欠番」 優れた功績を残した競技者の栄誉として、 その人の使った背番号を、 永久に他の人が使わないようにすること。 とても名誉なことである。 ある時、 スポーツの世界に新しい仲間が加わった。 しかし彼だけが肌の色が違った。 周囲は暴力的なプレ…

星に手を伸ばす少年

小さな村のはずれに、 星を見るのが大好きな少年がいた。 彼の名前はリク。 夜空を見上げ、無数の星々が織りなす壮大な景色に 心を奪われていた。 「いつか自分もあの星々に触れたい」 「宇宙飛行士になりたい」と夢見ていた。 しかし、周囲の人々はリクの夢…

ガッツポーズ

小さな頃から控えめな性格だった僕にとって、 運動会は苦手イベントだった。 人前で注目されるのが嫌いで、 徒競走はいつもビリかビリから2番目。 今年もきっと同じだろうと、 憂鬱な気持ちだった。 周りの子供たちは、 本番を前に元気いっぱいに走り回って…

ひとり旅

私は、長年勤めた会社を辞めて、ひとり旅に出た。 行き先は決めていない。 ただ、心の赴くままに、 日本各地を巡りたいと思っていた。 旅の楽しみの一つは、駅弁だ。 各地の駅弁は、その土地の食材や文化を反映しており、 旅の思い出を彩る大切な存在だ。 私…

隠された絵画

美術館の一角に飾られた、平凡な風景画。 しかし、その絵には秘密が隠されていた。 表向きは穏やかな湖畔の風景を描いた油彩画。 しかし、特殊な光を当てると、 湖面に別の絵が浮かび上がる。 「作者の意図は何だったのか?」 「作者はなぜ、このような秘密…

始まった

春の日差しが降り注ぐ中、 僕は中学校の校門をくぐった。 まだ着慣れない制服に身を包み、 少し緊張しながら歩く。 不安な僕は周りをキョロキョロ見る。 小学校の卒業式から数ヶ月が経ち、 なんとなく過ごしていた日々も今日で終わりを迎える。 これから始ま…

忘れられない一打

あの日、ぼくは初めて野球の試合を観に行った。 テレビで見るよりも迫力満点のプレーに、 すっかり魅了されてしまった。 中でも、一番印象に残っているのが、 松本選手のホームランだ。 松本選手は、かつてはチームの主力打者として 活躍していた選手だった…

はじめまして、私。

鏡に映る私は、まるで重荷を背負っているようだった。 背中まで伸びた髪は、ツヤを失い、絡まり、 まるで生き物のように蠢いている。 そして、その重さに、私の心も沈み込んでいく。 「もう、うんざりだ。」 私は家を出て、美容院に足を踏み入れる。 店内に…

守り神

沖縄県にある小さな町に住むひとりの少女は、 幼い頃からシーサーが大好きだった。 彼女の家の屋根には、 口を開けたオスと口を閉じたメスの シーサーが並んでいた。 「くれーやーまむてぃくぃとーるぬやさ」 「ん?家を守ってくれてるの?」 「だからよ」 …

きらめく希望

朝焼けの光がカーテンの隙間からこぼれ、 まだ眠っていた彼女の顔に優しく降り注いだ。 今日という日が訪れたことを告げる光は、 同時に彼女の心に小さな波紋を起こした。 「今日…ついに…」 そう、今日が彼女にとって初めての出勤日だった。 大学卒業後、就…

小さな嘘

私には幼い頃から時間を共にした親友がいた。 そんな私は、好きな子ができた。 「実は、プロのスカウトから声がかかって、 もうすぐ東京でモデルデビューするんだ。」 高校時代の夏、私はちょっとした強がりと、 好きな子にいい格好をしたいからと、 友人た…

劇場の記憶

私は薄暗い劇場に入り、 期待に胸を膨らませて座席に座る。 緞帳がゆっくりと上がり、 舞台に現れたのは壮麗なオーケストラ。 指揮者のタクトが動き出すと、 一糸乱れぬ音の洪水が私を包み込んだ。 ヴァイオリンの澄んだ音色、 チェロの深みのある響き、 ホ…

信長の野望

彼の名は「吉法師」 そんな彼は幼少期から奇行が目立った。 「俺はこの服が好きなんだ」と 派手で奇抜な服で町を歩く。 軍事力や経済力を持っている寺院。 「これからは新しい時代だ」と破却する。 ある時は、家臣の前で突然踊りだした。 ある時は、食事中に…

とある選手に向けて

いつもの活躍を心より応援しています。 今日、私は朝5時に起きました。 それはあなたを応援する為です。 私はいつもあなたを見ると、 ある存在を思い出します。 それは「孫悟空」です。 闘うことが大好きで、 強くなるためには過酷なトレーニングをします。 …

駅からの道

私の地元には有名な桜並木がある。 駅からの坂道。 堂々と立ち並ぶ桜の木。 学生時代、この道を通る毎日。 桜の花が咲く頃には、新しい生活の始まりを感じた。 桜の花びらが舞う頃には、新しい想いを抱いていた。 「いってきます。」と少し慌てた私。 「ただ…

時刻は深夜0時を迎えようとしていた。 私は一人暮らしのアパートで、 パソコンに向かって作業をしていた。 ふと、部屋の鏡に映る自分の姿が目に入った。 私は鏡の前に立つ。 そして私は目を凝らした。 鏡の中の私は、どこか様子がおかしかった。 目の下のク…

食品サンプル

小さな頃から、街のレストランの ショーウィンドウに並ぶ食品サンプルを見るのが 大好きだった少女。 そう。それが私。 本物の食べ物のように精巧に作られたサンプルは、 私の心をときめかせ、空腹を忘れてしまうほどだった。 細かければ細かいほど、特に興…

挑戦

松田隆治は、特に優れた才能もない、 平凡な青年だった。 そんな彼は、「自分の料理屋を持つ」という夢を 幼い頃から抱いていた。 隆治は夢を実現するため、日々努力を重ねていた。 大学では経営学を専攻し、 卒業後は様々な店でアルバイトを経験。 開店資金…

違った景色

肌寒い3月、 まだ春の訪れを感じるには少し早い季節だった。 そんな季節に私たちは旅行に出かけた。 行き先は、東京。浅草。 私たちは、浅草寺をお参りして、 仲見世通りで買い物を楽しんだ。 人混みに紛れながら、ふと目に入った人力車。 俥夫さんの勧誘に…

美しい地球

2XXX年、砂漠化が進行した地球。 かつて豊かな水資源を誇った地域も、 今ではわずかな水滴が命綱となっている。 10歳の少女、リサ。 水不足に苦しむ村で、 祖母から受け継いだ古い絵本を大切にしながら暮らしている。 絵本には、かつて水が豊富だった頃の 美…

波と板と雪

朝日が昇る海辺 長男は力強くサーフボードを海に漕ぎ出す。 波に乗る彼は、まるで海と一体になったように軽やかに動き、 観客を魅了する。 彼にとってサーフィンは、 単なるスポーツではなく、人生そのものだった。 次男は、街中のスケートパークでスケート…

命の輝き

幼い頃、初めて動物園に行った時のことを、 私は今でも鮮明に覚えている。 初めて見る動物達に、好奇心と驚きで 胸がいっぱいになった。 小さなリスは、木の枝を素早く駆け回り、 落ち葉を集めて巣作りをしていた。 キリンは長い首を伸ばして、 高々と茂る木…

音楽のチカラ

静寂に包まれた薄暗い部屋。 少女はベッドに横たわり、窓の外を眺めていた。 病魔との長い戦いは、彼女の顔から生気を奪い、 瞳の輝きを消していた。 コンコン。 そこに、一人の青年が現れた。 彼はギターを手に、彼女の隣に座ると、 優しく微笑んだ。 そし…

希望の声

生まれつき視覚障害を持つ私は、 幼い頃から点字ブロックに支えられて生きてきた。 街を歩き、学校に通い、友達と遊ぶ。 全て点字ブロックが私の道標だった。 しかし、ある日、 点字ブロックのない世界にたどり着く。 ここは、想像以上に暗闇だった。 点字ブ…

「ありがとう」

村に住む健太は貧しい農家に生まれた。 毎日の楽しみは、美味しいごはんを食べること。 そして、健太はその幸せに感謝をしていた。 その日、健太は早朝から珍しく台所に立ち、 一つ一つ丁寧に形を整え、 心を込めて団子を16個作った。 次に健太は、作った団…

今日という日。

街の灯りが消え、夜空に星が輝く頃、 一人の青年が公園のベンチに座っていた。 彼は、今日一日の仕事を終え、疲れ果てていた。 彼の頭の中は、仕事のことばかりでいっぱいだった。 そんな時、頭上に、一筋の光が降り注いだ。 見上げると、そこには無数の星々…

わたしの彼

朝日が静かに昇る時間、 彼は目を覚ます。 「おはよう」 まだ眠たさの残る体をゆっくりと伸ばし、深呼吸をする。 彼は鏡の前で微笑みながら自分の姿を見つめる。 笑顔の練習かな?今日もがんばるぞ。と彼が毎日行う習慣。 彼の内面の美しさを私は知っている…

動乱の刃

時は幕末、京都。 浪士隊が跋扈し、治安は悪化の一途を辿っていた。 そんな中、我が隊は幕府の命を受け、浪士たちの取締りを行っていた。 平助は、幼馴染と共に組に入隊する。 剣の腕は確かだが、まだ若く、世間知らずな平助。 「もう限界だよ。疲れたぁ。」…

ボロボロの財布

私は、父から譲ってもらった ボロボロの財布をいつも持ち歩いている。 周りの人からは、 「もうボロボロじゃん、新しい財布を買ったら?」 と言われることも多い。 しかし、私はこの財布を手放すつもりはない。 この財布は、父が長年愛用していたものだ。 父…

悲しみの先へ

今から数十年前。 臨海地方を震源とする巨大地震が発生した。 街は一瞬にして瓦礫の山と化し、多くの人々が命を落とした。 そんな中、消防士の一人の男は仲間と共に、 懸命な救助活動を行っていた。 倒壊したビルの下敷きになった人々、 燃え盛る炎に包まれ…