「永久欠番」
優れた功績を残した競技者の栄誉として、
その人の使った背番号を、
永久に他の人が使わないようにすること。
とても名誉なことである。
ある時、
スポーツの世界に新しい仲間が加わった。
しかし彼だけが肌の色が違った。
周囲は暴力的なプレーをした。
人種差別的なヤジを飛ばした。
審判までも不当な判定を行った。
「黒い肌!黒い肌!」
そんなヤジを聞いた
彼は泣きながらこう言った。
「この黒い肌を白くすることさえできたら、
自分もみんなと一緒に扱われるんです。そうでしょう?」
その言葉に周囲は何も感じないはずがなかった。
しかし、急に差別がなくなるわけでもなかった。
「仕返ししない勇気を持つ」
これが彼の信条だった。
彼は怒ることなく常に紳士的であり続けた。
そして次第に周囲も変化して行った。
やがて彼はメジャーリーガーとなる。
当時の監督はこう言った。
「自分は選手の肌が黄色であろうと黒であろうと構わない。
自分はこのチームの監督である。
優秀な選手であれば使う。
もし自分に反対する者がいたら、チームを出て行ってほしい」
そして今、彼の付けた背番号は
永久欠番となっている。