popoのブログ

超短編(ショートショート)

なってやる!

You don’t have to imitate anyone. You have your own style.

誰かの真似をしなくてもいいんだ。君には君のスタイルがある!

 

海のないこの都市で

俺は世界一のサーファーを目指す。

動機は…モテたいから。

 

テレビに映し出されたサーファーたち。

長髪。こげた肌。引き締まった体。

そして海から上がると大歓声と美女に囲まれる。

「かっこいい。」

俺の正直な感想だ。

でも周りはみんな無理だという。

でも周りはみんなあざ笑う。

理由はこの都市に海がないから。

「そんなの関係ない!」「海のある所に行けばいい!」

「だめよ。学校があるでしょ。」

「そうだ。きっと海は危ないぞ。」

(何も知らないくせに)

 

反対されればされるほど、

俺は最高のサーファーになりたくなった。

環境のせいにしたくはなかった。

 

俺はこの町に、かつてプロサーファーだった人がいる。

と情報を得た。

「オレにサーフィンを教えてください!」

彼は表を突かれた顔をした。

「おまえ。マジか?」

「はい!絶対プロの、いや。

世界一のサーファーになりたいんです。」

 

彼はトレーニングメニューの書かれた紙と

スケートボードを俺にくれた。

 

俺はそれから真面目に取り組んだ。

出かけるときはいつもスケボーを使った。

いっぱい、いっぱい、イメージした。

でもやっぱり、

実際にサーフィンをやれない現実に

不安と葛藤が生まれた。

 

それでも俺は動画やビデオをいっぱい見て

イメージをする。トレーニングを学ぶ。

すると自分の持っているメニューとは

違ったトレーニングをしていることに気が付いた。

俺の不安は増々大きくなった。

 

俺は彼に言った。

「こんなトレーニング誰もしていない!」

「本当に俺をプロにしてくれるのか!?」

 

彼は口を開く。

「実は俺も、海のない町に生まれた。

サーフィンをやると言った時、

みんながバカにした。俺は悔しかった。

だけどもっと悔しかったのは

大会で、いつも海で練習している奴らに

やっぱりな。とバカにされたことだった。」

 

「いいか。環境だけじゃない。

骨格だって、経験だって、性格だって

みんな違うんだ。」

 

「俺が貫いたのは

絶対うまくなってやるという意志と

自分のスタイルだ。」

 

「You don’t have to imitate anyone.

You have your own style.」

誰かの真似をしなくてもいいんだ。

君には君のスタイルがある!

 

そう言った彼の後ろには

たくさんのトロフィーと賞状が並んでいた。