2024-05-01から1ヶ月間の記事一覧
大学生の頃、私は親友のさとみと札幌旅行に行った。 冬の札幌といえば、雪景色とイルミネーションが美しい。 しかし、私たちはあえて夏の札幌を訪れた。 緑あふれる街並みや、爽やかな風を感じたかったからだ。 旅行の最終日、私たちは藻岩山に登ることにし…
ネオン煌めく街角、ふと目が合ったのは、 あなた。 漆黒の髪に吸い込まれるような瞳。 淡い微笑みに、私の胸が熱くなる。 言葉も無く惹かれ合い、真夜中の待ち合わせを約束する。 待ち遠しい時間が過ぎる。 鼓動が速まり、心臓が飛び出しそう。 そして、やっ…
毎週土曜の朝、俺は決まって コインランドリーへ向かっていた。 ちょっと古びた建物はどこか懐かしさを感じさせ、 いつも心地よい静寂に包まれていた。 俺がこのコインランドリーに通い始めたのは、 大学に入り、一人暮らしを始めた頃。 一人分の洗濯物なら…
時は1240年、日本。 緑豊かな山々、澄んだ川、 そして美しい田園風景が広がる京の都。 この平和な町には、歌がるたと呼ばれる 歌集を集めたかるたで遊ぶ人たちが多くいた。 ある日、幼い少女は、町外れにある古い神社を訪れた。 神社の境内には、大きな桜の…
太陽がゆっくり沈み始めた午後の駅舎。 母と並んで列車を待つ。 母はどこか懐かしげな表情で、改札口を見つめている。 「ねえ、覚えてる?昔乗った食堂車?」 母の言葉に、幼い頃の記憶が蘇る。 豪華な内装、白いテーブルクロス、 そしてきらきら光る食器。 …
熱い陽射しが降り注ぐゴルフ場。 初々しいゴルフウェアに身を包んだ俺は、 緊張した面持ちでティーイングラウンドに立っていた。 そして俺の隣には、 陽気な笑顔を浮かべる外国人青年、マイケルがいた。 俺たちは言葉の壁という大きな壁に直面していた。 俺…
久しぶりに帰った地元。 懐かしい街並み、 懐かしい風景が目に飛び込んできた。 私の目にふと留まったのは、 学生時代に通っていた学校の校舎。 懐かしさに、自然と足が校舎裏へと向かった。 当時は、この場所で彼とよく待ち合わせをした。 「おつかれ。」 …
5月の終わり、陽気な風が吹き抜ける季節。 私は仕事に追われ、心身ともに疲れた日々を送る。 「これ頼むね。」の「頼む」。 そう言われると引き受けてしまう。 そんな自分が嫌になる。 ある日、私は思い切って休暇届を出した。 予定などはなにもない。 ただ…
1920年代、アメリカ。 若き飛行士は、野望に燃えていた。 彼の夢は、誰も成し遂げたことがない、 ニューヨークからパリまでの 無着陸単独飛行を成功させることだった。 しかし、その挑戦は想像を絶するものだった。 当時の航空機は、まだ脆弱で信頼性に欠け…
私は、生まれた時からこの巣箱が私の家だ。 巣箱の中には、たくさんの仲間たちがいる。 女王蜂、働き蜂、そしてオス蜂。 それぞれが役割を持って、協力して生きている。 私に与えられた使命は働き蜂として生きること。 毎日、一生懸命に蜜を集めてくるのが私…
商売はあきないという。 たくさんの人と出会い、 毎日、様々な話がある。 今日は何がある? 今日は何があった? その、ひとつひとつの会話が 私にとって毎日を楽しくする。 だから「あきない」という。 そしてそのみんなは、笑顔を見せる。 時折起こる笑い声…
木漏れ日が降り注ぐ公園。 少女は、ブランコに揺られながら空を見上げていた。 彼女の心の中には、いつも小さな声が響いていた。 「もっと大きな声で歌いたい!」 「もっと自由に描きたい!」 「もっと遊びたい!」 「もっともっと楽しみたい!」 しかし、周…
昔々、あるところに、 お茶漬けが大好きな村がありました。 その名はお茶漬け村。 村人たちは毎日、朝昼晩とお茶漬けを食べていました。 しかし、どの家のお茶漬けが一番美味しいのか、 いつも議論が絶えませんでした。 ある日、村長はついに決断します。 「…
午後のひととき、屋根裏部屋で 埃まみれの古いアルバムを手に取った。 そのアルバムは、幼い頃引っ越しの際に 荷造り中に見つけ、そのまま放置されていたもの。 ページをめくると、そこには まだ家が建てられる前の更地で、 家族が笑顔で立っている写真だっ…
13歳の健太、15歳の裕太、17歳の翔太。 三兄弟は今日も元気に過ごしていた。 しかし、今日は少しいつもと違う。 両親が仕事で夜遅くまで帰らないというのだ。 夕日が沈み始め、辺りが薄暗くなってきた頃、 翔太は台所に立っていた。 夕食の準備をするのは初…
平和と繁栄に満ちていた世界は、 突如現れた「悪魔の病」と呼ばれる恐ろしい病によって、 深い闇に包まれてしまった。 この病にかかった者は、突如狂乱状態に陥り、 周囲の人を攻撃し始めるという。 その姿はまるで悪魔に取り憑かれたかのようだった。 病の…
雨上がりの公園で、小さな女の子は愛犬のココと遊んでいた。 ココはゴールデンレトリバーの子犬で、 ふわふわの毛並みとつぶらな瞳が愛らしい。 彼女とココはいつも一緒だ。 公園で駆け回ったり、ボール遊びをしたり、 時にはただ寄り添って日向ぼっこをする…
乱世の今、 ここは戦場の真っ只中だった。 負傷兵があふれ、 劣悪な衛生環境で 多くの命が失われていた。 「誰か助けは来ないのか!」 そんな言葉は届かない。 そう思っていた。 そんな絶望的な状況の中 一人の女性が現れる。 幼い頃から病弱な人々を助けた…
体も心も疲れた毎日を送る私。 今日は何もない、久しぶりの休養日。 のはずだった。 「明日は来れる?」と母からの連絡。 一人暮らしをする際に、 「毎月一度は顔出すね。」 そう言って家を出た私は、 連絡が来ると行かなきゃ。という気持ちになる。 「わか…
私はママと久しぶりにお出かけをした。 その道中の車の中。 私はふとママに質問をした。 「ねぇ、ママ。なんでパパと付き合ったの?」 私もなぜその質問をしたのか覚えていない。 ふとでた言葉だった。 「なによ、突然。」 そう言われると気になった。 「ね…
炎天下、外回りで汗だくになって ようやくたどり着いた駅。 喉はカラカラ、頭の中はボーッとしっぱなし。 そんな状態でふと目に入ったのが、自販機だった。 普段は炭酸飲料をほとんど飲まない私だけど、 その時はなぜか体がコカ・コーラを求めていた。 懐か…
いたずらっぽい笑みを浮かべながら 今日、俺はキッチンに立つ。 にぎやかな東京の中心部から、ちょっと離れたアパート。 そこで俺は一人暮らしをしている。 慌ただしい都心での生活。 そんな時間から自分だけの時間に入る。 たこ焼き粉、キャベツ、卵、天か…
ねえねえ、みんな! 今日だけはダイエット解禁しよ! 今日だけは解禁しちゃいませんか? 毎日頑張っているダイエット。 糖質制限、カロリー計算、運動... 「意外とストレス溜まってるかも? 」 「そうだよ。たまには自分を甘やかしてあげないと」 「心も体も…
青空に悠々と泳ぐ鯉のぼり。 その鯉のぼりを見上げる小さな息子は5歳になった。 息子は、鯉のぼりが大好き。 風に揺れる姿に、 まるで空を飛んでいるヒーロー だと感じているようだ。 こどもの日の今日に、 私たちは息子にサプライズを用意した。 それは、嫁…
俺たちは幼い頃から仲良しだった。 二人で毎日、学校の行き帰りに 一緒に近くの堤防を歩いていた。 俺(陽太)はお調子者で明るく元気な男子で、 いつも俺の隣で歩く彼女は優しい女子で、 俺の面倒を見てくれたり、本物の兄妹のようだった。 俺たちはよく、…
陽だまりの差し込む窓辺、 少女時代の思い出が詰まったおもちゃ箱を そっと開ける。 そこには、色褪せながらも大切に保管された リカちゃん人形が眠っていた。 無数の洋服や小道具。 幼い頃、夢中で遊んだ宝物たち。 毎日一緒に遊んだリカちゃん。 着せ替え…
静寂に包まれた海面が、 少しずつオレンジ色に染まっていく。 まだ誰もいない浜辺に、私は一人で立っていた。 私は、マグロ漁師である父を待っていた。 父は毎年、この時期になると数週間かけて漁に出る。 私は、幼い頃から父の出航を見送り、 そして、帰り…
路地裏に、ひっそりと佇むカフェ「ひだまり」。 俺はバイト生活を送る。 今日も慣れたようにエスプレッソマシンを操り、 カウンター越しに笑顔を振りまいていた。 そんなある日、いつものように開店準備を始めた俺の目に、 今まで見たことのない女性が飛び込…