炎天下、外回りで汗だくになって
ようやくたどり着いた駅。
喉はカラカラ、頭の中はボーッとしっぱなし。
そんな状態でふと目に入ったのが、自販機だった。
普段は炭酸飲料をほとんど飲まない私だけど、
その時はなぜか体がコカ・コーラを求めていた。
懐かしい缶タイプのコーラ。
迷わず手に取って、一気に半分以上を飲み干した。
シュワッと弾ける炭酸と、甘酸っぱい味わいが全身を駆け巡る。
「ゲッ・・・ぷ」
私は一気に疲れが吹き飛んだ。
ひと息ついて、ふと缶に目をやった。
その瞬間に蘇る記憶。
そこに映る自分の姿は、
幼い頃に近所の駄菓子屋で買った
コカ・コーラを美味しそうに飲んでいる。
「あの頃」の自分と重なった。
夏になるとよく友達と駄菓子屋や海に行って、
冷たいコカ・コーラを味わうのが楽しみだった。
少ないお小遣いを握りしめ、
駄菓子屋のおばちゃんにコカ・コーラをねだり、
友達と一緒に飲みながら話に花を咲かせた。
海へ行ってはバカ騒ぎしながら青春に花を咲かせた。
そういえばいつしか瓶から缶に変わったな。
なんて、あの時の何気ない日常が、
今ではかけがえのない思い出となって蘇る。
そんな思い出を呼び起こしてくれたコカ・コーラ。
一口飲んだだけで、子供の頃の無邪気な笑顔や、
友達との楽しい時間、あの頃感じた温かい気持ちまで
鮮明に蘇ってきた。
普段は飲まない炭酸飲料だったけど、
このコカ・コーラは格別だった。
それは、単なる飲み物ではなく、
時間と記憶を繋ぐ魔法の飲み物だ。