popoのブログ

超短編(ショートショート)

うまい!

いたずらっぽい笑みを浮かべながら

今日、俺はキッチンに立つ。

 

にぎやかな東京の中心部から、ちょっと離れたアパート。

そこで俺は一人暮らしをしている。

 

慌ただしい都心での生活。

そんな時間から自分だけの時間に入る。

 

たこ焼き粉、キャベツ、卵、天かすなど必要な材料を買い揃え

エプロンを着用し、準備万端。

俺は時折、リズムに乗って

説明書を見ながら、粉と水を混ぜ合わせる。

生地が完成したら、いよいよ焼き始める。

 

その前にテーブルの上に専用の焼き機とビールを準備。

のはずが、俺の手は少し早いがビールを開け、

口からのどに流し込む。

「うぅぅぅ!うまい!」

現実の疲れやストレスを忘れさせてくれる。

そしてまた一段とやる気になる。

 

さあ、いよいよ油を敷き、生地を流し込む。

そこに、刻んだキャベツと天かすを加える

こんがりと焼き色がついてきたら、

いよいよお待ちかねの中身を入れる番だ。

 

定番のタコ以外にも、

ウインナーやチーズなど様々な具材を用意した。

それとサプライズで唐辛子も。

 

全ての中身を詰め終わったら、あとは丸くなるまで焼くだけ。

 

俺は、こんがり焼きあがったたこ焼きを皿に移し、

ソースやマヨネーズ、かつおぶしなどをかけて完成させた。

 

俺はランダムにたこ焼きを選んで一口食べる。

「うまい!」

熱いが外はカリカリで中はふわふわ。

まさに理想の仕上がりだ。

さあ、次を。と2個目のたこ焼きを選ぶ。

「やっぱりうまい!」と思った次の瞬間、

 

「うわっ!辛ぇぇぇ…!」

と強烈な辛さに襲われる。

 

自分だけの、自分のための、ロシアンたこ焼き。

 

見事に2個目でヒットした。

俺は必死にビールを飲みながら、辛さをしのぐ。

 

「はぁ。はぁ。」と一人で

もがく姿に笑みを浮かべる。

 

俺はその後も、色々な具材の組み合わせを楽しんで、

時折、辛さと闘いながら、

飽きることなく次々とたこ焼きを食べる。

 

色々な味のたこ焼きを味わうのはとても新鮮で

俺は夢中になっていた。

 

一人の食事も、一人の時間も、

遊び心があれば、こんなに楽しくなるんだ!

俺は自分なりの楽しみを見つけて

笑顔で全てのたこ焼きを食べ尽くした。

 

部屋中に香るこの焼き終えた匂いが

愛おしくてたまらない。

 

「またやろう」