東京タワーを一望できる高層ビルの一室。
社長は、モニター越しに映る社員たちの顔を見つめていた。
新型コロナウイルスの影響で、
テレワークを導入してから早二年。
当初は不安もあったが、社員たちの業務効率向上や
ワークライフバランス改善を実感し、
導入してよかったと感じていた。
しかし、社長の心の中には、どこか複雑な思いが渦巻いていた。
「社員たちの顔が見えないのはやっぱり寂しいんだよなぁ…」
オフィスで直接顔を合わせや、
雑談を交わしながら仕事をすることで生まれる一体感。
チームワークの重要性を社長は肌で感じてきた。
テレワークは確かに便利だが、失われたものも大きいと感じていた。
さらに、社員たちの様子も気になっていた。
家にいると、ついサボってしまうんじゃないか?
社員同士のコミュニケーション不足で、
ストレスが溜まっていないだろうか?
そんな不安も頭をよぎり、社長は複雑な心境に陥っていた。
そんなある日、
社長はテレワーク中の社員たちを訪問することにした。
神奈川県の海沿いの町。
「お疲れさまでーす!」
「遠かったですよね?」
「あれ?ちょっと痩せましたか?」
そこには、自宅でのびのびと仕事に取り組む社員たちの姿があった。
海を眺めながら仕事をする人もいれば、
家族と談笑しながら仕事をする人もいる。
それぞれが自分にとって最適な環境で、
集中して仕事に取り組んでいた。
社長は、社員たちの生き生きとした表情を見て、
心が温かい気持ちになった。
「テレワークは、社員たちの
新しい働き方を開拓してくれたんだな。」
オフィスという制約から解放された社員たちは、
自分らしさを発揮し、より自由に仕事に取り組んでいた。
社長は、そんな社員たちの姿を見て、
テレワーク導入の決断が間違っていなかったことを確信した。
しかし同時に、オフィスという場が持つ役割も再認識した。
「オフィスは、仕事をするだけの場所じゃない。
社員たちが交流し、一体感を育む場でもあるんだ。」
社長は、テレワークとオフィスの両方の良さを活かした
、新しい働き方について考え始めた。
数週間後、社長はオフィスの一部を改装し、
コワーキングスペースのような空間を作った。
社員たちは、自宅での仕事に飽きた時や、
人と交流したい時に、このスペースを利用することができる。
この取り組みは、社員たちから好評を博した。
「オフィスで人と話すと、気分転換になるよね。」
「自宅では集中できないけど、ここなら集中して仕事ができる。」
社員たちは、テレワークとオフィスの両方のメリットを享受し、
より充実した仕事生活を送るようになった。
社長は、社員たちの笑顔を見て、深い満足感に浸った。
「テレワークは、単なる働き方の変化じゃない。
会社と社員の関係性を変えるチャンスなんだ。」