2024-01-01から1ヶ月間の記事一覧
小さな雪片が風に舞い、白い世界が広がっている。 まるで、ぼくたちはそこで眠っているようだった。 こどもたちが集まってきた。 ぼくたちを集めて丸める。 最初は小さな丸。次は少し大きな丸。 そして最後はぼくたちを持ち上げる。 こどもたちは何かを話し…
「貯金するくらいなら旅に行け」 私が学生時代に父がよく言っていた言葉。 初めてバイトの給料をもらった時 両親を食事に誘った。 「お前の金に助けられるほど困っていない。 自分の稼いだお金は自分のために使え。」 別に助けるとか、そんじゃなくて 感謝の…
ぼくの町には大きな木がある。 樹齢何百年という木らしい。 この木を見るために遠くから いっぱい人が集まってくる。 もの心ついたころには 当たり前のようにあった木。 「この木は私たち人間とは違った速度で 少しずつ。少しずつ。でも確実に ゆっくりと静…
南国の島 青い海。白い砂浜。 自然が織りなす綺麗な植物。 威徳なまでの黒い溶岩。 そして何より この島は常に笑顔が溢れている。 この島を訪れた9割を超す人達は また来たい!と言うそうだ。 私が初めて訪れたのは新婚旅行。 20代終わりの頃、人生を共にし…
時刻は午後7時を少し過ぎたころ。 プルルルル 「もしもし。」 「あなた。早くドア開けてよ。」 「えっ?なに?」 「玄関を開けて!インロックかかってるわよ。」 「えっ!?俺はまだ会社だよ。」 「だって部屋の電気ついてるわよ!」 (俺は必死に考える) …
「いってらっしゃい!」 夫を送り出し、朝食の後片付けをする。 食器を洗う私は鼻歌を唄う。 次は洗濯。 (もうこんなたくさん) そう思いながらも 洗濯機が頑張ってくれている間に 私は部屋に掃除機をかける。 「アレクサ!音楽かけて。」 私はリズムに乗り…
「この海の深くには金塊が眠っている。」 私はこの言葉を聞いた時、震えた。 目の前に広がる青い海の底に すぐ私の目の前に可能性がある。 胸の鼓動は早くなる一方だった。 「この山からは金が採れる。」 俺はこの言葉を聞いた時、叫んだ。 目の前にあるこの…
好きな時に好きなものを食べて やりたいことをやってと 自由な生活をしてきた。 そんな俺も気が付くと40歳を過ぎた。 今まで年齢など気にしたことがなかった。 重い病気にもならないし、風邪もひかない。 至って健康! そう思っていたが・・・ 最近は体が…
僕たち家族は一年に一回 この街の小さなライブハウスを訪れる。 目的は、大好きなJAZZバンド。 ただ一つ困ったことは 人気があるのに小さなお店で開かれる。 という点だ。 コンサートの時期が近づくと、 家族はワクワクと興奮でいっぱいになっていた。 コン…
俺たちは自分の街を守る為に 仲間になった。 俺の学校は この街で恐れられている。 飲酒、暴力、タバコ… でもこいつらは皆んな ただ寂しいだけなんだ。 親のいない奴。 親から暴力受けた奴。 親が無関心な奴。 親に甘やかされ過ぎた奴。 悪さをして誰かの興…
私の父親はPTSDを患い 感情のコントロールが出来ずにいた。 その為に私は何度か暴力をふるわれた。 私の母親はかつて教師を目指し ピアノを演奏するのが好きだった。 私は聞く、話す、読む、書く。 が苦手だった。 その為か、クラスメイトのみならず 先生ま…
あなたをずっと好きでいたいから! 俺は今、お前に会いたくてたまらない。 照れくさい言葉に顔がニヤける。 今日も映画を観ながら 私はドキドキが止まらない。 一人の優秀な女性が 一人の平凡な男性に恋をする。 男性は不器用で真っすぐ生きる。 女性は真逆…
チャイムが鳴り お昼の時間がやってくる。 色とりどりのお弁当の中 俺はランドセルから そっと、おにぎりを取り出す。 「おかずないの?」 「なにかあげようか?」 頼むからそんな風に言わないでくれ。 俺の家は、別に金持ちじゃないが 普通の家庭だ。 かあ…
「大丈夫ですか?」「わかりますか?」 俺は病院のベッドで目を覚ます。 (ん?なんだ?どうしたんだ?) 慌てて何が起きているのか現実を理解しようとした。 「やめなよ!」という言葉を思い出す。 「いい加減にしろ!」という言葉を思い出す。 (あれ?ど…
「パパ!おかえり!」 息子ケンジが興奮げに駆け寄ってきた。 「パパ、今日ね。学校で先生が手洗いを教えてくれたんだ!」 「ほう。それはいいことだね。手洗いは大切だよ。」 「パパも、ちゃんと手洗いしないとだめだよ!」 父親はにっこり笑って、洗面所に…
「はい。お待たせ。」 ここは近所で有名なラーメン屋。 そして大好きだった先輩のラーメン屋。 「いただきます!」 ズルルゥッ…(うまっ!) その夜、先輩の家にお邪魔した。 奥さんと子ども。 3人で暮らす小さなアパートだった。 少しお酒が入ったころ 「先輩…
今日も私は投稿を見る。 一日の話題がそこにはある。 共感できるもの。素敵だと思うもの。 たくさんの日常と情報がそこにはある。 私はある投稿にくぎ付けになった。 私が幼い頃から好きだったアイドルが 結婚したというNEWSの投稿だった。 (私の初恋を返し…
「お供え物のお餅を食べましょう」 そう言ってママが食事の準備に入る。 僕はお餅が大好き。 だけどなぜか我が家では 決まって食べるのはこの時期だけだ。 「さあ。お餅を持ってきて。」 僕は足早に飾ってあった場所に向かう。 パンパンと手を合わせ 「あり…
幼女2人がそれぞれ自分の馬に乗っていた。 幼女たちはお互い負けず嫌いで、 つまらぬ口論をしていた。 そこに通りがかった王様たち。 王様はにっこり笑いながらこう言った。 「2人で馬に乗ってレースをしてみないか? 勝った馬の主に宝を与える。 ただし、後…
おめでとうございます! これから先の人生で新たな一歩を踏み出す日に、 心からお祝い申し上げます。 この特別な瞬間に、「育つ」という言葉を捧げます。 みんなが人と向き合う中で感じるであろう 想い、喜び、そして誇りに思う気持ちが、 これからの素晴ら…
「いつもありがとうございます。」 感謝の意を込め一礼する。 向拝所から鳥居までの僅かな道のりに 様々なことを考える。 仕事。家族。友人。健康。 祀られた絵馬を見つめながら。 周りにある木々を見つめながら。 または砂利道を見つめながら。 ゆっくりと…
「おばあちゃん。だいじょうぶだよ。」 「いいの?いいのに。」 「たまたま小銭あるから。」 「ご馳走しようと思ったのに。ごめんね。」 「いいの。だいじょうぶ。」 「ほんとうに?いいの?悪いわ。」 「いいよ。いいよ。」 喫茶店のレジで私の前にいたふた…
「緊急速報」 その言葉を聞いて私は車を走らせた。 数時間後、目的の場所に到着する。 崩壊したビル。家屋。焼けた住宅街。 私はただその場に呆然と立ち尽くした。 「わざわざ来てくれたのか?」 声の方を振り向くとマフラーを巻いて 長靴を履いた老人がいた…
トゥルルルルル 「扉が閉まります。ご注意ください。」 窓越しの、おじいちゃんとおばあちゃん。 「バイバイ」と手を振る。 何を言っているのかは聞こえないが おじいちゃんとおばあちゃんの口が動く。 「バイバイ」と手を振り続ける。 電車が出発すると あ…
僕はいつものように目を覚ます。 僕はいつものようにリビングに向かう。 そしていつものようにパパとママがいる。 でも朝の挨拶は違う。「おめでとう!」 いつもの朝食も、今日はたくさんの料理が並ぶ。 リビングには、幼い僕でもはっきりとわかるほど 気持…