popoのブログ

超短編(ショートショート)

どこでもドア

 

「いってらっしゃい!」

夫を送り出し、朝食の後片付けをする。

食器を洗う私は鼻歌を唄う。

 

次は洗濯。

(もうこんなたくさん)

そう思いながらも

洗濯機が頑張ってくれている間に

私は部屋に掃除機をかける。

「アレクサ!音楽かけて。」

私はリズムに乗りながら

軽やかに掃除をする。

今日はいつもより段取りがいい。

 

洗濯物を干すために、私はベランダに出る。

(ああ。さむっ)

それでも雨上がりの朝日が

私を少し温めてくれる。

「よしっ!」

部屋に入った私は時計を見る。

9時30分。

私は少し笑顔だ。

 

ソファーで淹れたての紅茶を飲みながら

これからの予定をおさらいする。

私は少しソワソワしている。

 

そう。今日は息子も母に預け

晩ごはんの準備もいらない。

今日は私に与えられた休業日。

 

シャワーを浴び、化粧をして

久しぶりに友達とランチ。

その後はヨガにエステ。

夜はちょっとしたディナーショー。

「よしっ!今日一日を満喫してやる!」

 

靴を履き終わった私はこんなことを思った。

この扉を開ければ、何処にだって行ける気がする。

 

私は紅茶のカップをキッチンに置いたまま

誰もいない部屋に「いってきます!」と

元気いっぱいに家を出る。