popoのブログ

超短編(ショートショート)

看護の礎

乱世の今、

ここは戦場の真っ只中だった。

 

負傷兵があふれ、

劣悪な衛生環境で

多くの命が失われていた。

「誰か助けは来ないのか!」

そんな言葉は届かない。

そう思っていた。

 

そんな絶望的な状況の中

一人の女性が現れる。

 

幼い頃から病弱な人々を助けたい

という強い意志を持っていた女性。

厳しい訓練の末、看護師となった女性。

 

到着した彼女は、

目の前に広がる悲惨な光景に愕然とした。

負傷兵たちは満足な治療を受けることができず、

多くが感染症で命を落としていた。

 

彼女は、持ち前の行動力で、

劣悪な衛生環境を改善しようと奮闘する。

 

自ら率先して傷病者の看護にあたり、

病院の消毒や清掃を徹底した。

 

「患者の身体が冷えたり、熱が出たり、めまいを起こしたり、食事の後に気分が悪くなったり、床ずれができたりするのは、たいていは病気のせいではありません!

看護に問題があるのです!」

 

彼女は看護師たちの教育にも力を入れ、

より質の高い医療を提供できる体制を整えた。

 

彼女の献身的な努力は、

次第に成果を現す。

死亡率は劇的に改善し、

兵士たちは彼女を「傷だらけの天使

そう呼んだ。

 

「天使とは、美しい花をまき散らす者ではなく、

苦悩する者のために戦う者」

 

まさにこの言葉がぴったりだ。

 

彼女の活躍は世界中に知れ渡り、

看護師という職業に対する

社会の認識を大きく変えた。

 

戦争終結後も、

彼女は看護教育の普及や衛生環境の改善に尽力した。

 

「看護師の基本は、患者が何を感じているかを、患者に辛い思いをさせて言わせることなく、患者の表情に現われるあらゆる変化から読みとることができることなのだ」

 

彼女の功績は、看護制度の礎を築き、

世界中の多くの人々の命を救い続けた。

 

これは、単なる英雄譚ではない。

それは、困難に立ち向かう勇気、人の命を尊ぶ心、

そして社会を変える力を持つ一人の女性の物語。