popoのブログ

超短編(ショートショート)

歌がるた

時は1240年、日本。 緑豊かな山々、澄んだ川、 そして美しい田園風景が広がる京の都。 この平和な町には、歌がるたと呼ばれる 歌集を集めたかるたで遊ぶ人たちが多くいた。 ある日、幼い少女は、町外れにある古い神社を訪れた。 神社の境内には、大きな桜の…

夢を乗せて

太陽がゆっくり沈み始めた午後の駅舎。 母と並んで列車を待つ。 母はどこか懐かしげな表情で、改札口を見つめている。 「ねえ、覚えてる?昔乗った食堂車?」 母の言葉に、幼い頃の記憶が蘇る。 豪華な内装、白いテーブルクロス、 そしてきらきら光る食器。 …

サンキュー!

熱い陽射しが降り注ぐゴルフ場。 初々しいゴルフウェアに身を包んだ俺は、 緊張した面持ちでティーイングラウンドに立っていた。 そして俺の隣には、 陽気な笑顔を浮かべる外国人青年、マイケルがいた。 俺たちは言葉の壁という大きな壁に直面していた。 俺…

甘いキス

久しぶりに帰った地元。 懐かしい街並み、 懐かしい風景が目に飛び込んできた。 私の目にふと留まったのは、 学生時代に通っていた学校の校舎。 懐かしさに、自然と足が校舎裏へと向かった。 当時は、この場所で彼とよく待ち合わせをした。 「おつかれ。」 …

休暇と自転車

5月の終わり、陽気な風が吹き抜ける季節。 私は仕事に追われ、心身ともに疲れた日々を送る。 「これ頼むね。」の「頼む」。 そう言われると引き受けてしまう。 そんな自分が嫌になる。 ある日、私は思い切って休暇届を出した。 予定などはなにもない。 ただ…

大空を駆ける若き飛行士

1920年代、アメリカ。 若き飛行士は、野望に燃えていた。 彼の夢は、誰も成し遂げたことがない、 ニューヨークからパリまでの 無着陸単独飛行を成功させることだった。 しかし、その挑戦は想像を絶するものだった。 当時の航空機は、まだ脆弱で信頼性に欠け…

私はミツバチ。

私は、生まれた時からこの巣箱が私の家だ。 巣箱の中には、たくさんの仲間たちがいる。 女王蜂、働き蜂、そしてオス蜂。 それぞれが役割を持って、協力して生きている。 私に与えられた使命は働き蜂として生きること。 毎日、一生懸命に蜜を集めてくるのが私…

あきない

商売はあきないという。 たくさんの人と出会い、 毎日、様々な話がある。 今日は何がある? 今日は何があった? その、ひとつひとつの会話が 私にとって毎日を楽しくする。 だから「あきない」という。 そしてそのみんなは、笑顔を見せる。 時折起こる笑い声…

心の声と言葉のちから

木漏れ日が降り注ぐ公園。 少女は、ブランコに揺られながら空を見上げていた。 彼女の心の中には、いつも小さな声が響いていた。 「もっと大きな声で歌いたい!」 「もっと自由に描きたい!」 「もっと遊びたい!」 「もっともっと楽しみたい!」 しかし、周…

お茶漬け村

昔々、あるところに、 お茶漬けが大好きな村がありました。 その名はお茶漬け村。 村人たちは毎日、朝昼晩とお茶漬けを食べていました。 しかし、どの家のお茶漬けが一番美味しいのか、 いつも議論が絶えませんでした。 ある日、村長はついに決断します。 「…

工事写真

午後のひととき、屋根裏部屋で 埃まみれの古いアルバムを手に取った。 そのアルバムは、幼い頃引っ越しの際に 荷造り中に見つけ、そのまま放置されていたもの。 ページをめくると、そこには まだ家が建てられる前の更地で、 家族が笑顔で立っている写真だっ…

青春七五三

13歳の健太、15歳の裕太、17歳の翔太。 三兄弟は今日も元気に過ごしていた。 しかし、今日は少しいつもと違う。 両親が仕事で夜遅くまで帰らないというのだ。 夕日が沈み始め、辺りが薄暗くなってきた頃、 翔太は台所に立っていた。 夕食の準備をするのは初…

希望の灯火

平和と繁栄に満ちていた世界は、 突如現れた「悪魔の病」と呼ばれる恐ろしい病によって、 深い闇に包まれてしまった。 この病にかかった者は、突如狂乱状態に陥り、 周囲の人を攻撃し始めるという。 その姿はまるで悪魔に取り憑かれたかのようだった。 病の…

愛犬

雨上がりの公園で、小さな女の子は愛犬のココと遊んでいた。 ココはゴールデンレトリバーの子犬で、 ふわふわの毛並みとつぶらな瞳が愛らしい。 彼女とココはいつも一緒だ。 公園で駆け回ったり、ボール遊びをしたり、 時にはただ寄り添って日向ぼっこをする…

看護の礎

乱世の今、 ここは戦場の真っ只中だった。 負傷兵があふれ、 劣悪な衛生環境で 多くの命が失われていた。 「誰か助けは来ないのか!」 そんな言葉は届かない。 そう思っていた。 そんな絶望的な状況の中 一人の女性が現れる。 幼い頃から病弱な人々を助けた…

ファイト!

体も心も疲れた毎日を送る私。 今日は何もない、久しぶりの休養日。 のはずだった。 「明日は来れる?」と母からの連絡。 一人暮らしをする際に、 「毎月一度は顔出すね。」 そう言って家を出た私は、 連絡が来ると行かなきゃ。という気持ちになる。 「わか…

ママとパパ

私はママと久しぶりにお出かけをした。 その道中の車の中。 私はふとママに質問をした。 「ねぇ、ママ。なんでパパと付き合ったの?」 私もなぜその質問をしたのか覚えていない。 ふとでた言葉だった。 「なによ、突然。」 そう言われると気になった。 「ね…

魔法の飲み物

炎天下、外回りで汗だくになって ようやくたどり着いた駅。 喉はカラカラ、頭の中はボーッとしっぱなし。 そんな状態でふと目に入ったのが、自販機だった。 普段は炭酸飲料をほとんど飲まない私だけど、 その時はなぜか体がコカ・コーラを求めていた。 懐か…

うまい!

いたずらっぽい笑みを浮かべながら 今日、俺はキッチンに立つ。 にぎやかな東京の中心部から、ちょっと離れたアパート。 そこで俺は一人暮らしをしている。 慌ただしい都心での生活。 そんな時間から自分だけの時間に入る。 たこ焼き粉、キャベツ、卵、天か…

今日だけの解禁

ねえねえ、みんな! 今日だけはダイエット解禁しよ! 今日だけは解禁しちゃいませんか? 毎日頑張っているダイエット。 糖質制限、カロリー計算、運動... 「意外とストレス溜まってるかも? 」 「そうだよ。たまには自分を甘やかしてあげないと」 「心も体も…

空飛ぶヒーロー

青空に悠々と泳ぐ鯉のぼり。 その鯉のぼりを見上げる小さな息子は5歳になった。 息子は、鯉のぼりが大好き。 風に揺れる姿に、 まるで空を飛んでいるヒーロー だと感じているようだ。 こどもの日の今日に、 私たちは息子にサプライズを用意した。 それは、嫁…

堤防の二人

俺たちは幼い頃から仲良しだった。 二人で毎日、学校の行き帰りに 一緒に近くの堤防を歩いていた。 俺(陽太)はお調子者で明るく元気な男子で、 いつも俺の隣で歩く彼女は優しい女子で、 俺の面倒を見てくれたり、本物の兄妹のようだった。 俺たちはよく、…

リカちゃん

陽だまりの差し込む窓辺、 少女時代の思い出が詰まったおもちゃ箱を そっと開ける。 そこには、色褪せながらも大切に保管された リカちゃん人形が眠っていた。 無数の洋服や小道具。 幼い頃、夢中で遊んだ宝物たち。 毎日一緒に遊んだリカちゃん。 着せ替え…

朝焼けの海

静寂に包まれた海面が、 少しずつオレンジ色に染まっていく。 まだ誰もいない浜辺に、私は一人で立っていた。 私は、マグロ漁師である父を待っていた。 父は毎年、この時期になると数週間かけて漁に出る。 私は、幼い頃から父の出航を見送り、 そして、帰り…

甘い予感

路地裏に、ひっそりと佇むカフェ「ひだまり」。 俺はバイト生活を送る。 今日も慣れたようにエスプレッソマシンを操り、 カウンター越しに笑顔を振りまいていた。 そんなある日、いつものように開店準備を始めた俺の目に、 今まで見たことのない女性が飛び込…

私の居場所

あれはまだ、私が10歳の頃だった。 母親に連れられて初めて図書館を訪れた。 そこで何気なく手にした一冊の本。 表紙は色鮮やかな絵だった。 それが、私がその本を手に取った理由。 物語を読み進めると、それは優しい物語だった。 主人公の少女は一匹の猫…

たくさんの愛情と共に

湯船から上がり、 真っ赤なお顔をほころばせる赤ちゃん。 小さな体は、まるで摘みたての桃のように ぷるぷると震えている。 そっと抱き上げ、ふわふわのタオルに包み込むと、 赤ちゃんは安心したように目を細める。 タオルは毎日の洗濯で柔軟剤の優しい香り…

青春と希望の街

活気に満ちた若者と 流行の最先端をいく街。 IT企業も集まり、情報の発信源になっている。 東京の真ん中、渋谷。 私は久しぶりにこの街に来た。 かつては私も夢をみた。 悔しさと喜びをこの街で味わった。 上手くいかない人生を、 たくさんの人ごみの中で孤…

休みの幕が開ける時

さあ、準備はいいか? ゴールデンウィーク、いよいよその幕開けだ。 日々の喧騒から離れ、自分自身と向き合う時間。 未知なる世界へ、旅に出よう。 心の奥底に眠っていた夢を掘り起こし、 新たな可能性を解き放とう。 大切な人たちと笑い合い、語り合い、 か…

善意が生んだ悪意

彼は、ごく平凡なサラリーマンだった。 安月給で贅沢もできない。 そんなある日、彼は帰宅途中、 公園のベンチに腰掛けた。 「はあ。今日も疲れたな。」 と缶コーヒーを一本飲む。 ガサッ。 足元で音がした。 彼はベンチの下を覗き込んだ。 するとそこには、…