popoのブログ

超短編(ショートショート)

2023-09-01から1ヶ月間の記事一覧

私たちのお城

敷地30坪の土地に3階建ての家が建った。 人生で初のマイホーム。 そしておそらく生涯暮らすであろう マイホーム。 俺は6畳二間の小さな家で育った。 思春期には自分の部屋が欲しくても その想いは叶わなかった。 俺は成人して愛する人と巡り合った。 俺は結…

Tattoo

今日、俺は3つ目のタトゥーを彫る。 「やめなよ。」 俺の周りには批判的な人が多い。 「親からもらった大事な体」 「プールに行けなくなるよ」 「印象悪いじゃん」 正直に言う。 「ほっといてくれ。」 俺は誰かに何かを言われたくて入れるんじゃない。 親か…

会社と共に

ゆっくりと工場を歩いて回る。 気付けばもう80を迎える。 木工所を始めて40と4年。 建物と共に歳をとった。 昔は自身の足で営業をして数多くの物を作ってきた。 机。椅子。時計。タンス。 やがて裏の山を買い、木を切っては材料にした。 多い時は従業員も20…

夜風に吹かれて

残業が終わり静まり返った帰り道。 ポツンポツンと街灯の中、 私は駅から少し遠回りをする。 何か用事があるわけではない。 この風が冬の到来を知らせてくれる。 同時に少し寂しい気持ちになる。 私はこの風を感じると、学生時代を思い出す。 バイトの後の思…

未熟なわたし

私にとって初めてのアルバイト。 少し人見知りで 少し緊張する私。 それでもバイトは楽しくて やっと少し慣れてきた。 その日はバイト終わりに楽しみな予定があり、いつも以上に気合いが入っていた。 (お客さんに喜んでもらおう) その想いだけだった。 私の…

約束

ある日、俺が自宅に帰ると、玄関に立っていたのは亡くなった母だった。 俺は驚き、恐怖に襲われた。そのとき母は笑顔だった。 母は以前のように平然と振る舞い、俺に話しかける。 俺は怖かったが、何が起きているのか、不思議な気持ちでいっぱいだった。 母…

花族

今日も私達はいつもの場所で咲いている。 私達の寿命は短い。 それでも私達は命を継いでいる。 この夏はとても暑かった。 私は高温乾燥には、さほど強くない。 葉が焼け、株が弱ってしまうこともある。 私達はある家の庭の木陰にいる。 先日、たくさんのひと…

私の担当

ある日、私は一軒の美容院を訪れた。 「レイヤー多めに。前髪はこのくらいに。」 「かしこまりました。」 笑顔の若い男性は手際よくカットに入った。 その日、私は仕事で少しイライラしていた。 彼は口数が少なかった。 カットが終わり、カラーに入る。 「こ…

戻ってきたよ!

私がこの国を訪れたのは7年前。 「一度くらい行ってみたら」という母の言葉と 「お願い。一緒に行こう」という友達の誘いを 断れずに訪れた。 私は何も調べずに付き合い程度の来日だった。 そんな私は空港を出た瞬間から好奇心に包まれた。 綺麗な道。綺麗…

激しい鼓動

俺はあまり緊張しないタイプだ。 とばかり思っていた。 そんな俺は今震えが止まらない。 扉を入り、今日から正式に家族になる妻を待つ。 教会の前に立ったタキシードを着た俺は 半身振り返りながら、その扉が開かれるのを待っていた。 讃美歌と共に、妻とお…

おめでとう!

「バンザイ」俺たちは歓喜の一夜を迎えた。 この日のために。この時のために。俺たちは努力をしてきた。みんなそれぞれ個々に力を持っていた。それは俺たちだけじゃない。それでも僅かな歯車とチームの息が合わないと結果に出てしまう。厳しい世界だ。 「バ…

キャンプファイヤー

いつものように、友人同士でキャンプに行くことになった。 その日は星空がとても綺麗だった。 僕らはテントを張り、夜になってキャンプファイヤーを囲んで楽しんでいた。 「なあ。星座を当ててみよう!」 一人の友人が急に思いついたみたいだ。 「よし!じゃ…

初恋

それはまだ携帯電話が普及する、ずっと前のこと。 俺は初恋をした。 抑えられない感情。 「好きだ」「少しでも一緒に居たい」という想い。 俺は毎日葛藤の日々だった。 そんな思いを抱えたまま卒業を迎えた。 それでも彼女を忘れられなくて、好きで好きで。 …

夢の国

このゲートをくぐれば夢の国。 “Every adventure requires a first step.” 「全ての冒険は、最初の一歩が必要なんだ」 私はこの言葉に希望をもらった。 物心ついた時には、当たり前のように映像やぬいぐるみがあった。 全ての物語に感動し、興奮し、 笑顔に…

写真

懐かしい写真が出てきた。 それは俺がまだ小さい時 お祭りに参加した写真だ。 俺は汗をかきながらハッピを着て笑ってる。 母が亡くなり俺は実家の整理をしている。 母とは、たわいの無い近況ばかり話して、 思い出話などはしたことがなかった。 何だか照れく…

法で裁かれない者

物語の舞台は大都市で、法で裁けない悪党として知られるマフィアのボス、ジョセフ。 彼は巧妙な方法で法を逃れ、その裏で非合法なビジネス帝国を築いている。 彼の罪状は多岐にわたるが、証拠不足や証人の脅迫により、法の手が届かない。 アンは、かつてジョ…

トイストーリー

あるところに、カプセルトイが大好きな女の子がいた。 名前はさくら。さくらは、毎日のようにカプセルトイを買い、 集めたおもちゃを自分の部屋に並べて眺めていた。 さくらには、重い病気の友達がいた。 名前はこはる。 こはるは、病気で入院していて、家に…

name

「太陽」これは俺の名前。 暖かな心でみんなを包み込むように。 お前の未来は明るい。と意味を込め父がつけたらしい。 「花」これは私の名前。 可憐でおしとやか。そして人から愛されるように。 あなたは希望を与えられる。と意味を込め母がつけたらしい。 …

殿が行く

「また殿がいないぞ!」 城内はいつものように慌ただしくなった。 「殿・・・まずいですよ。」 「気にするな。さあ行くぞ。」 城下から離れた山のふもと。 「わ~!」「おとのさま~」「とのさま!」 殿の姿を見るなり、駆け寄る子供たち。 「お殿様。いつも…

恋の味が忘れられなくて

私がよく訪れるカフェがある。 とてもオシャレなオープンカフェだが 都会じゃない分、いつも空いている。 窓際の席。ここが私の特等席。 「ココアお願いします」 「いつもありがとうございます」 おかわり自由なので、いつも長居をしてしまう。 この窓から見…

我慢

休日の朝を迎えた俺は家にいる。窓からは青青とした空が見える。俺はベッドに横になりながらその景色を眺めている。 (本当なら・・・) 異変を感じたのは昨日の午後。コーヒーを飲みながら書類作成していた俺は、体にダルさを感じた。頭が働かない。身体が…