私がこの国を訪れたのは７年前。
「一度くらい行ってみたら」という母の言葉と
「お願い。一緒に行こう」という友達の誘いを
断れずに訪れた。
私は何も調べずに付き合い程度の来日だった。
そんな私は空港を出た瞬間から好奇心に包まれた。
綺麗な道。綺麗な街。
そして何より綺麗な心に惹かれた。
それは私たちが道に迷っている時だった。
ひとりの女性は明るく笑顔で話しかけてくれた。
不安そうな私たちに懸命に教えてくれた。
流暢な言葉ではなかった。
それでも助けたいと思う彼女の気持ちは、
私たちに安心と喜びを与えてくれた。
ホテルに着いた私たちは次の日から観光に出た。
最初に訪れた浅草寺。
見たことのない建物に感動した。
次に訪れた秋葉原。
体験したことのない文化に驚いた。
夜に訪れた上野の街。
この街全体の雰囲気と食事に楽しさでいっぱいだった。
銀座、渋谷、原宿、皇居。
あっという間の3日間だった。
そしてどの場所に行っても優しい人たちに包まれた。
私は帰国してもその興奮は続いた。
私の国では、都心を離れれば、まだ道路は土の道。
私の国では、車は汚れていて、ぶつけることもあたり前。
私の国では、即席のテーブルと椅子で食事を食べる。
「ああ。また行きたい。もっと知りたい。」
私は7年かけてお金を貯めた。
「戻ってきたよ！」
私は心でそう叫びながら希望の地に足を踏み入れる。
