popoのブログ

超短編(ショートショート)

私の居場所

あれはまだ、私が10歳の頃だった。

母親に連れられて初めて図書館を訪れた。

そこで何気なく手にした一冊の本。

表紙は色鮮やかな絵だった。

それが、私がその本を手に取った理由。

 

物語を読み進めると、それは優しい物語だった。

主人公の少女は一匹の猫を守るために、

田舎町を美しくする物語。

すると次第に動物たちが町に集まって、

動物の王国と呼ばれる人も集まる町に変わるという物語。

私は、少女の懸命で、でもちょっぴりお転婆

失敗を繰り返しながらも努力する姿。

そして何より素直な気持ちに、心を持っていかれた。

 

「帰るわよ。」という母の言葉に

「もうちょっと」とせがんだのを覚えている。

 

私はそれからというもの、

図書館に数多く足を運ぶようになった。

小説、ファンタジー、歴史書、詩集…

それぞれの言葉が、私に新たな世界を見せてくれた。

 

私はたくさんの勇気と希望を本から学んだ。

私はたくさんの感動と夢を本から得た。

 

年頃になり、流行やオシャレに興味を持ち始めた友達。

それでも私は読書に夢中だった。

図書館は私にとっては大切な場所になっていた。

 

大人になった私は、今日も地元の図書館で、

子どもたちに読書の楽しさを伝えている。