静かな田舎町に住む少女・リサは、
生まれつき目が見えなかった。
リサの世界は、暗闇と触覚、
そして家族や友達の声で構成されていた。
リサは想像力で世界を描き、夜空の星々を夢見ていた。
ある夜、リサの夢の中に、星の案内人が現れた。
案内人はリサに、目に見えない世界にこそ、
真の美しさがあると語る。
そして、リサを様々な星へと案内してくれたのだった。
案内人の導きで、色とりどりの花が咲き誇る星を訪れる。
そこでは花たちがそれぞれの表現で優雅に咲いていた。
次訪れたのは、人々が歌を歌う星。
人々は常に歌い、歌で会話をし、信頼を築いていた。
最後に訪れたのは愛に満ちた星。
罵り合ったり、喧嘩をすることなく、
その星すべてのものが大切に愛情を持って過ごしていた。
「リサ。目が見えなくても、心で見ることによって、
美しい世界を体験できるんだ。」。
しかし、現実の世界では、
リサは周囲から理解されにくいこともあった。
見えないものを見ようとするリサを、
周りの人たちは奇異の目で見ていたのだった。
そんな時、リサは転校生のアキラと出会った。
アキラはリサの想像力豊かな話、
リサの夢の世界の話に興味を持った。
ある夜、リサとアキラは、一緒に夜空の下にいた。
「リサ。今空にはいっぱいの光がある。」
「ゆっくり息をして、想像してみて。」
リサはその言葉の通り、大きく息を吸って
たくさんの光を想像した。
「どのくらいあるの?大きさは?」
「小さな光だけど、無数にあるよ。」
リサは星の案内人の言葉を思い浮かべて、
笑顔でこう言った。
「いつか行ってみたいな。」
リサは、目に見えないものを
見ることができる喜びを感じていた。
20歳になったリサは、今、花の香りを感じている。
20歳になったリサは、今、風の音を感じている。
「リサ。今日も無数の星があるよ。」
「でもちょっと涼しいね。光も薄いのかな?」
「そうだね。だけどひとつだけ、綺麗に輝いているよ。」
「リサ。ぼくにとっての君のようだ。」
「ありがとう。アキラ。」