今日も私達はいつもの場所で咲いている。
私達の寿命は短い。
それでも私達は命を継いでいる。
この夏はとても暑かった。
私は高温乾燥には、さほど強くない。
葉が焼け、株が弱ってしまうこともある。
私達はある家の庭の木陰にいる。
先日、たくさんのひとが見てくれた。
この家で行われたホームパーティ―。
幸いにも、その日は天候がよく心地いい風が吹いていた。
「ママ。このお花きれい!」
そんな声が聞こえた。
ピンクの服を着た小さな女の子だった。
(私達、今見られてるわね。)
(おいおい。恥ずかしいなあ。)
(ダメよ。萎れたら。堂々としましょう)
私達はこの時期にしか姿を現さない。
だから最高のパフォーマンスをする。
これまで大切に育ててくれた、ここの家族。
乾かないように水をくれた。
虫が寄り付かないように肥料を混ぜてくれた。
(ありがとう。)
私達からのメッセージ。
私達は小さな仲間の集まり。
そしてみんなで最高の姿を見せる。
ひとは私達をこう呼ぶ。
「恋の訪れ」