popoのブログ

超短編(ショートショート)

工事写真

午後のひととき、屋根裏部屋で

埃まみれの古いアルバムを手に取った。

そのアルバムは、幼い頃引っ越しの際に

荷造り中に見つけ、そのまま放置されていたもの。

 

ページをめくると、そこには

まだ家が建てられる前の更地で、

家族が笑顔で立っている写真だった。

まだ元気な祖父母。まだ若い両親。

 

私は、アルバムのページをめくっていく。

基礎部分から壁、屋根までが徐々に形作られていく様子。

克明かつ鮮明に記録されていた。

 

「引っ越し前の古い家は、古くて狭くて、冬は寒く、夏は暑かった。」

そう言っていた父の言葉を思い出す。

 

写真の中には、

必死に材木を運ぶ姿。

力強くレンガを積み上げていく姿。

丁寧にペンキを塗っている姿。

が映っている。

私は一枚ずつの写真全てに夢中になっていた。

 

上棟式の写真。

家族や親戚、近所の人たちが集まる姿。

大工さんたちと笑顔でお酒を酌み交わす姿。

竣工式の写真。

新しい家の完成を喜びいっぱいで祝っている姿。

家全体を眺める祖父と父の姿。

 

私は少し感動した。

 

写真をよく見ると母のお腹は少しずつ大きくなっている。

「そうか。私が生まれたのはこの後か。」

そう思うと、胸が熱くなった。

 

また、アルバムはそれで終わりではなかった。

 

次のページからは、

古い家から家族みんなで協力して荷物を運び出す様子。

病院で赤ちゃんを抱いて喜んでいる様子。

幼い私が、新しい家で楽しそうに遊んでいる様子。

が映っている。

私は一枚ずつの写真全てに思い出を重ね合わせていた

 

アルバムを見終えた時、

胸の中に温かい温かい感動が込み上げてきた。

家族の思い出と愛情が詰まった大切な場所。

 

私はそんな家が大好きだ。