popoのブログ

超短編(ショートショート)

語らう二人

辺りの木々から滴る雨、

梅雨の気配を感じる夕暮れ時。

温泉旅館の露天風呂に、

サラリーマン風の二人の男たちが腰掛けていた。

 

「ふぅー、気持ちいいね。」

「そうだね。現実を忘れて、ゆっくりできるな。」

「やっぱり温泉は最高だね。」

 

二人は、日頃の仕事の疲れを温泉の湯に溶かし込んでいく。

 

「今日は色々あったなあ。

会議で上司に怒鳴られたり、

取引先との交渉がうまくいかなかったり…」

 

「 俺もだよ。今週は残業続きで、

やっと休みが取れたと思ったら、家事も溜まってるし…」

 

そんな愚痴も、温泉の湯の中ではどこか軽やかに聞こえる。

 

「それでも、こうして温泉に浸かれば、一気に疲れが吹っ飛ぶよな。」

「そうだね。やっぱり温泉は、憩いの場だよ。」

 

二人は、しばらくの間、無言で星空を見上げていた。

 

「・・・そういえば、最近何か楽しいことあった?」

「そうだなあ。こないだ、友達とキャンプに行ったんだ。

久しぶりに自然の中で過ごして、すごくリフレッシュできたよ。」

 

「いいなあ。俺もキャンプ、行ってみたいんだよね。」

「じゃあ、今度一緒に行こうよ。」

「ぜひ!約束だからな。」

 

二人は、声を弾ませながら、これからの予定を語り合った。

 

「よ~し。そろそろ上がろうか。」

「ああ、名残惜しいなあ。」

 

二人は、立ち上がって体を拭き、浴衣に着替えた。

 

「今日はありがとう。誘ってくれて。」

「こちらこそ。また来ようね。」

 

「さ~あ!飲むか!」

「おう!」

 

二人は、仲良く旅館の部屋へと向かって歩いた。