popoのブログ

超短編(ショートショート)

come here !

1990年代初頭、

東京郊外の小さな町に住む12歳の少年ヒロは、

ひとりのミュージシャン「マイケル」に夢中だった。

彼のダンス、彼の音楽、彼の全てが大好きだった。

少年は、彼のように歌って踊れるようになりたい。

と毎日練習していた。

 

ある日、少年はテレビでマイケルが来日するニュースを見た。

そしてなんと、彼は少年の町でコンサートを開くというのだ。

少年は狂喜乱舞し、チケットを手に入れるために

必死に手伝いをし、貯金を始めた。

 

しかし、コンサート2日前、

チケットは高額で、

少年には到底買えるものではなかった。

諦めていた少年は、その夜、部屋で一人泣いていた。

すると、窓の外から歌声が聞こえてきた。

 

それは、マイケルの歌声だった。

少年は窓の外を見ると、

なんとマイケルが自分の家の前に立って

歌っているではないか!

 

少年は信じられずに外に飛び出し、マイケルに駆け寄った。

彼は優しく少年の頭を撫で、こう言った。

「歌が好きなのかい?だったら、一緒に歌おう。」

 

マイケルは少年にチケットを手渡した。

「君の想いは強かったと聞いたよ。

ヒロ。このチケットで、僕のコンサートに来てくれ。」

 

少年は涙を流しながら、マイケルに感謝した。

 

そして、夢に見たコンサートの日、

少年は緊張と興奮でいっぱいだった。

会場に入ると、目の前に広がる光景は圧巻だった。

そして、いよいよマイケルが登場すると、

会場全体が熱狂に包まれた。

 

マイケルは、パワフルな歌声と華麗なダンスで

観客を魅了した。

少年は、夢に見ていたマイケルの姿に感動し、涙を流した。

 

「今日は僕の友達が来ている。」

「まだ幼い彼は僕と一緒に歌いたくて、毎日

朝から夜中まで町中のみんなの、お手伝いをしていたみたいだ。」

 

マイケルは観客席の少年を真っすぐ見つめて、こう言った。

 

「そんな彼を紹介させてくれ!」

「Hiro!come here!!」

 

少年にとって夢のような、

最高の時間が訪れた。

 

数年後、マイケルは突然この世を去った。

ヒロは悲しみに暮れたが、

彼の音楽と、彼がくれた最高の時間は

ヒロの心の中でずっと生き続ける。

 

そして、マイケルから学んだ優しさと思いやりを胸に、

自分も誰かに夢と希望を与えられるような人になりたい!

そう決意した。